機首部を横から。

ゼロ戦の設計で理解に苦しむのが、
このエンジンカウルと胴体の完全別パーツ化で、
その接合部に、ご覧のような巨大な隙間が出来てしまっています。

当然、ここで機体の表面を流れてきた気流は渦を生み、
そうなると空気抵抗(有害抵抗)の巨大な発生源となるのは、
どう見ても明らかでしょうに。
車輪カバーとか、尾輪とかあれだけ空気抵抗に気をつかっていながら、
これでは意味がないじゃん、と思うわけで。
ここら辺りの堀越さんの設計思想はどうもよくわかりません。

雷電、烈風も、ゼロ戦よりは目立たないものの、
似たような構造を持ちますから、何かメリットを見出していた可能性はありますが、
他での採用例をあまり知らないので、明らかな間違いだと思うんですよね。



ゼロ戦のライバルともいえるF-4Fのエンジン部のと胴体。
カウルフラップを閉じてしまえば、両者は一体化されており、余計な段差とかはありません。
当たり前と言えば、当たり前のデザイン。

これが空冷エンジン機の標準的なスタイルで、
堀越デザインの特徴とも言えるエンジンと機体の明確な別パーツ化、
段差付きにする構造はどうにもよくわからないところではあるのです。
同じ日本の空冷戦闘機でも、陸軍機では世界標準式ですし、
彼の機体ならではの部分だと思います。

まさかとは思うんですが、堀ちゃんの場合、96式戦闘機からこのデザインではあるので、
1920年代の機体デザインを引きずっていただけ、という事はない…よ…な…あ…。



そのよくわからん段差周辺をアップで。
一番上の排気管の上に見えてるのはカウルフラップを動かすためのロッド。

エンジン後ろの例の隙間が、意外に複雑な形状なのにも注目。



機首部からコクピットを方向を見る。

7.7mm機関銃銃身の上のカウル部分はリベットが頭の潰れてない通常の物だったり、
その機銃の上のカバーは周囲を覆うように上から載せられてる構造なのがわかります。

そのカバー部からコクピットにかけての形状が、
思った以上に複雑な凸凹となっており、これはちょっと驚きました。



そこから垂直尾翼が見える角度までを。

ゼロ戦の主翼は貫通型で、主桁などの構造が胴体をこのまま貫いてます。
その上にパイロットは座る形になるんですが、
こうして見ると、主翼の上にパイロットが座る事になる、
という位置関係がよく掴めます。

ついでに、防弾ガラスとかは一切無い
薄いコクピット正面の有機ガラスも見ておいてください。

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