今度は機首周りとエンジン、プロペラなどを少しアップで。

エンジンの前、三本のプロペラの中心にある
巨大な弾丸型の部分をプロペラ スピナーと呼びます。
空気で冷やす空冷エンジンの場合、コレとカウルの開口部の形状で空気の流れを作り、
冷却効果を上げる工夫がされてるはずですが、
ゼロ戦で、そこら辺りがどこまで考慮されていたかはよく知りませぬ。
グラマンの機体やF-4Uのように、そんなん知るか、という機体も多いですしね。

ちなみにスピナーの中にはプロペラの角度を常に適正に保つ可変ピッチ機構が入ってます。
これはプロペラ機の命ともいえる部分なんですが、
簡単に解説するのはちょっと難しいので、今回はそういったものが入ってる、
という事だけを覚えておいてください。



正面から。

一番上の穴の奥に7.7mm機関銃の銃口が見えてます。
その手前の筒状部分が、銃口よりずっと広くなってるのも注目。

エンジン上の横長の開口部は先に述べたエンジンの吸気口。
ここからキャブレターへ空気が送り込まれるわけです。
ここは構造的に弱かったのか、左右に補強の板が貼ってあるのにも注目。

その下がエンジンの開口部。
ゼロ戦の栄エンジンは空冷エンジンですから、
シリンダーに直接風を当てて冷却するわけです。

手前のスピナーもよく見ると
大きく3つのパーツに分割されてるのが判りますね。



正面からも写真を撮って見ましたがガラスの反射で微妙な感じに…

ちなみに日本陸軍機だとプロペラスピナーの先端に、
エンジン起動車のフックに接続するための突起があるのですが、
海軍機にはこれがありませぬ。



でもってスピナーのアップ。

先頭部のパーツに一文字型の切り込みがあるとか、
真ん中と先端部のパーツはネジ部分に鎖でS字型の封がされてるとか、
現物見ないと一生気が付かないであろうという変な特徴がありますね。

この鎖、目に付いた範囲では少なくとも3箇所にあったので、
レストアの際の忘れ物とかではなく、おそらくオリジナルだと思われます。
他の機体ではあまり見ないものです。


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