お次はコクピット周辺と機首部をアップで。
しかし、なんでゼロ戦のエンジンカウルは黒いんでしょうね。
電磁波の放射が重要になるほど高温になるとも思えないですし、
そうだとしても、わざわざ太陽熱集めちゃう黒にする理由がありません。
機体と同色でいいはずです。
となると何らかの宗教的な理由かしらむ…。
ちょっと細かく見ておくと、カウルの後部下に飛び出してる白い吸気口は
日本機ではこの位置でおなじみの(笑)オイルクーラー。
他にもプロペラ スピナー上のエンジン用吸気口の真ん中に支え棒があるとか、
斜め上下に分割されてるエンジンカウルを固定してる
四つの小判状の固定具の位置などを見ておいてください。
そこから少しアップで。
カウルから後ろにとび出してるのはエンジンの排気管。
大排気量の上、マフラー(消音装置)なんて噛まさない
航空エンジンの排気はかなりの勢いとなり、
このため、これを推力として利用しようと後ろに向けたわけです。
ただし、ここから飛び出すのはパルス衝撃波の上、
竜巻のようなプロペラ後流の中に位置してますから、
どこまで効果があったのかは疑問ではあります。
高度や速度によっても効果に差はあってでしょうし、
ここら辺りの、キチンとした実験データを、私は見たこと無いですし。
排気管の周りの凸状のパーツはカウルフラップで、
これは花びらのように外に開いてカウル内の高熱を逃がす機構。
ただし、高高度で低温の場合、エンジンが冷えすぎてしまう事があるので
(必要な熱エネルギーまで奪われてしまう)
開閉式にして、必要が無くなれば閉じれるようになってました。
さらによく見ると、その排気管の先の機体表面に、
薄い防護板が貼られてるのがわかるでしょうか。
アルミ合金のジュラルミンは高温に弱く、摂氏100度以上に
長時間さらされると強度が落ちる、という特徴があるため、
排気管からの高温ガスが機体に直接かからないよう貼ったものでしょう。
普通に考えれば高温に強い鋼板とかのはずですが、
さすがに外見からその材質まではわかりませぬ。
さらにアップ。
コクピットの前に小さい楕円の穴がありますが、
あれは機首の7.7mm機関銃の発射で生じるガスを逃がすためのもの。
これが空気と一緒にエンジン吸気で吸い込まれたりするとトラブルの元ですし、
かなりの高圧ガスにもなるので、キチンと後ろに逃がしてやるわけです。
ただの穴ではなく、筒状のものが中に見えてますね。
その前、胴体の上から下まで走る細い隙間は温度調整用、
エンジン後部の高温の空気を抜くためのもの、と聞きましたが詳細は知りませぬ。
***追記
これは機首下のオイルクーラーの空気抜きにもなってる、
との指摘を掲示板でもらいました。
なるほど、言われて見ればゼロ戦のオイルクーラー、
空気の抜ける出口がありませんね。
ついでによく見るとコクピットには照準器も残っており、
やはりいい状態を維持してるなあ、という感じです。
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