■イギリス ゼロ戦編 2 胴体部 / ロンドン
帝国戦争博物館
というわけで、その196号ゼロ戦の胴体部がこれ。
こちらはロンドンの帝国戦争博物館にあります。
ちなみに、RAF博物館とは運営母体が異なる組織です。
一見すると、コクピット周辺を残して、豪快にぶった切られてしまったように見えます。
が、それにしては切断部がキレイすぎるなあ、と思って調べてみたら、
ゼロ戦は運搬時には胴体を三分割可能で、これはまさにその三分割の
中心部のパーツだったのでした。
なので、コスフォードに三分割された先端部があり、ここに胴体中心部があり、
最後の胴体後半部は行方不明、という状態になってるわけです(笑)。
ただし、ゼロ戦の主翼は取り外し不可なので、
この部分は明らかに切断されてしまったものですね。
その主翼の切断ラインは前半が主脚の収容部まで、
後半は翼内燃料タンクまでとなってますが、これはこの外側にあった
機銃とその弾薬庫から先をキッチリ取り払ってしまってる形になってます。
で、この機体はオリジナル状態のまま、という点に関しては
おそらく世界最強の機体で、まあ、そういった視点から見て行きましょうか。
取り合えず全体像を。
主翼を取り外せない設計になっていたゼロ戦は
輸送時の対策として胴体が3分割でき、その中心にあたるのが、この部分。
これも例の連合軍調査部隊、ATAIU
SEAのカラーで全面を塗装されてるのですが、
元の塗装の上から重ね塗りをしてるため、一部にそのオリジナルの塗装が見えてます。
ちなみにこれ、触り放題だったりします(笑)。
ここで注目はコクピット後部、背もたれの後ろにある縦長の穴。
(Sの字の上あたり)
あの部分には方位確認用のループアンテナが入るのですが、
これが現状は失われています。
**追記**
ループアンテナを入れても穴は全体の1/3程度までしか埋まらず、
穴は完全には埋まらない、との指摘を掲示板にて指摘を受けました。詳しくはまた後で
で、ATAIU
SEAによるテスト中の写真を見ると、すでにコレが失われており、
どうも最初からついてなかったような感じがあります。
使えない無線機関係の装置を降ろして軽量化を図った、という話はよく見ますが、
ひょっとして、方位探知機も使い物になってなかったんでしょうかね。
斜め前から。
胴体の横のSEAは海のことではなく、東南アジアの略称で、ATAIU
SEAのSEAです。
現在は失われてる胴体後部にATAIUの字も書かれていました。
コクピット前にあるのは潤滑油のタンクで、これをエンジンにつなぐためのチューブも残ってるほか、
主翼の端では主脚の取付部が見えるようになってます。
右横から。
この目にもまぶしいメタリックな青は元々の塗装だと思うのですが、
実際の機体ではここら当たりは見えない部分なので、色をつける意味は無く、
サビ止めかなんかでしょうかね。
手前の楕円の青い板の向こうが恐らく主脚収納用の油圧装置、その左、
ちょっと奥の3枚にわかれた青い板の向こうが主翼内燃料タンク。
その間にある、二本のパイプが入った貫通材が、ゼロ戦の主翼を支える主桁(前桁)です。
左端には、フラップを下げる油圧装置と、途中で切断された主翼下面のフラップ部が見えてます。
真正面から。
機体上部に向けて絞り込まれてゆく胴体の断面形がよくわかります。
コレに対して、空冷エンジンは真ん丸の円形ですから、そのまま取り付けたら段差が生じます。
その段差が出来た部分にカウルフラップを付けて空気の抜け道を確保したり、
排気管を出したりしてるわけです。
上の方に見えてる丸い2つの穴は機首の7.7mm機関銃のためのもの、
オイルタンクの上下の四隅に見えてる黒いところがエンジンの懸架金具を取り付ける場所で、
機首部とこの胴体部は、このエンジン懸架金具で接合されます。
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