主脚周りとか。
ちなみに主脚と右に見えてる増槽取り付用懸架装置の間に、
12.7mm機関砲の薬莢排出孔があるはずなんですが、どうも見あたりませんね。

脚カバー上部に書かれてるのは、油圧緩衝器の沈み込み具合を測るための目盛り。
離陸できないほどの燃料や弾薬を積んでしまうと、機体の重さで主脚の緩衝器が沈み込み、
あの目盛りを超えてしまうようになってます。
なので、ここを見ると事で重量オーバーがわかるのです



その収容部とか。

ここの収容部の後ろに見えてる四角いパネルの中には、翼内燃料タンクが入ってたはず。



主翼の下にある増槽取り付け用の懸架装置。

これは外部燃料タンク、増槽専用のもので、前後に書かれた細長い黒い棒の下が、固定用の金具取り付け部。
で、ちょっと見づらいですが、前の方に書かれた二つの下向きの矢印の場所にあるのが
燃料取り込み口と、その燃料を機体内に送り込むための加圧用パイプの取り付け部。
左は送燃、右は加油と書かれており、送燃の方が加圧用、加油の方が燃料供給用のパイプだったはず。
当然、取り外しは可能で、増槽を使用しない場合は外しておきます。

で、もう一つ、写真が暗くて判りにくいですが、機首下のオイルクーラのすぐ上、その胴体横に、
とても小さい丸い孔があるの、わかるでしょうか。
これはエンジン始動用のクランク棒の差込口で、エンジン始動車(後述)のない場所では、
これを使ってエンジンを始動していました。



機首下面。
床に敷かれたオイル受けの布にシミがついてますから、かなりいいコンディションでエンジンは保管されてるようです。
(この機体、1986年の航空ショーで一度だけエンジンを回して見せた事がある)

日本機らしく(笑)、機種下に空気抵抗なんざ知るか、というデザインで取り付けられたオイルクーラーは
先にも書いたように疾風のものなので、オリジナルとは異なります。
さらに、後部カバーもなくなってるので、疾風に積まれていた状態とも微妙に異なってたり(笑)。

で、主脚収納部の内側のフタの横、胴体右下に小さな筒状のものが飛び出してるのが判るでしょうか。
小型のオイルクーラーのようなものなんですが、これは燃料冷却装置です。
ただし、この小さな装置も例の不時着時に破損、三式戦のものに代えられてしまってるので、
果たしてオリジナルもこんな感じで付いてたのかは不明。
おそらく、ですが、もう少し外に飛び出して、完全に筒状の全体が露出していたはずです。

燃料冷却器とはなんぞや、と言うと、その名の通り、ガソリンを冷却するもの。
レシプロエンジンの燃料はすぐに気化してしまうガソリンで、これは沸点が低い、という事です。
で、気化してしまった状態で燃料タンクからキャブレターに送り込まれると、
燃焼に必要な燃料の量が確保できず、まともにエンジンが動かなくなります。
(キャブレターを気化器とするのは誤訳に近い。ガソリンを気化させるわけではない)

で、飛行機と言うのは高い空を飛ぶために造られてるものですから、
それこそ5000mとか6000mあたりでブンブン飛び回る事になります。
で、よく知られてるように、高度が上がると気圧が下がり、気圧が下がると沸点が下がります。
ここに高温が加わると、下手するとまともに飛べない事態となってしまいます。

となると、暑い地方で運用される航空機の燃料は、すぐに沸騰してしまう事になります。
これを防ぐ方法は二つ。
当然、温度を下げる、そして気圧を上げる、となります。

この温度を下げるための方の装置が、あの小さな燃料冷却器となります。
高温多湿の日本本土はもちろん、南方で戦うことが前提となる日本機にはよく見かける装置ですが、
北緯50度前後が主戦場だったヨーロッパの場合を見てみると、
スピットファイアでこれが付くのはマーリン61型以降で、Mk.VII(7)以降、
量産型でならMk.IX(9)以降となります。
ただし、燃料の加圧は初期の頃からやってますが、逆に日本機では
ここら辺がどうなってたのかよくわかりません。

ついでながら、この沸騰防止用の加圧タンクに自動燃料漏れ防止機能、
つまり銃弾で孔が開いたら溶け出したゴムでそこをふさぐ、という機能を搭載した場合、
圧力でゴムが吹き飛ばされてしまうケースが多く、
すぐに加圧を切らないと孔がふさがらない場合があったそうな。


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