■前置き その1
さて、各機体の性能差を確認するのもいいが、最初にその機体の「世代」を確認しておきたい。
第二次大戦の戦闘機、というと普通に単葉(一枚翼)でプロペラで、と思いがちだが、
1935年から1945年の10年間は、戦闘機が複葉、鋼管羽布張り(重いのに剛性がない)の機体から、
単葉、ジェッラルミン製モノコックボディ、さらにはジェット戦闘機まで進化してしまった恐るべき時期で、
この時代の2年の違いは完全に一世代の違いがあるんですな。
たとえば、イギリスのグロスター社は1937年から、イギリス空軍に複葉、胴体後部は羽布張りの
グラディエーターを納入してるわけだが…
わずか7年後の1944年には、ジェット戦闘機のミーティアを造ってました(笑)。マジかよって感じですな。
たとえば今の自衛隊が7年後には宇宙戦艦まで保有してます、ってなくらいの進化です。
なので、2年前の戦闘機より高性能なんです!とか言われても、そりゃそうでしょ、という感じであり、
比較としてフェアではありません。
それを確認するために必要な事項だけでわかりやすくまとめた年表を作って見ました。
今回登場する機体の初飛行年月日を入れてあります。
一番お姉さんなのはF4Fで、37年9月デビュー、P40と並んで、ヨーロッパの主力機、Me109、スピットファイアと同世代機です。
次に、隼、P38、ゼロ戦と、ここまでが第二次世界大戦勃発前に飛んだ機体。
P38とゼロ戦、完全に同世代機なんですね。
でもって、ここから太平洋戦線が開戦する41年の12月まで、日米共に、追い立てられるように新型機が次々とデビューします。
開戦後にデビューしたのは、アメリカではF6Fのみで、日本の疾風の43年3月が最後発。
疾風、世界レベルの性能でしたが、そのデビュー時期を見れば、ある意味当然なレベルだったわけです。
逆に、日本から見ると、次々とデビューする新型機、と思われがちなF4U、P51といったあたりは、
実は全て開戦前に初飛行を終えてます。
P51なんて、鍾馗と完全に同世代機です。
まあ、ムスタングは42年に再度エンジンをマーリンに積み替えての初飛行があるんですけども、
基本設計は40年の段階で完成しているのです。
そんなわけで、この中でピカピカの新型機にあたるのは、飛燕、F6F、雷電、疾風、ということになりますが、
それぞれの機体の性能はどうだったのか、を見てみるのも面白いかもしれません。
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