お次は胴体下辺り。
コクピットのキャノピーの前後でリベットの有る無しが分かれるのがはっきりわかりますね。

右翼下にあるラジエターの後部開閉機構、すなわちラジエター フラップの構造が見て取れます。
上空と地上ではかなりの温度差があるため、どれだけラジエターで
エンジン冷却液を冷やすのかは、意外に重要なポイントとなります。
熱すぎても、冷やしすぎてもまずいのです。
このため、こういった感じで後部の開口部を狭くしたり、広くしたりして
ラジエターに取り込まれる空気の量を調整します。

コクピット前の横で飛び出してるのは、恐らくコクピットの換気用空気取り入れ口だと思いますが確証は無し。
 



車輪部分を正面から。
プロペラの先端が黄色いのは回転中にはっきりと見えるようにして、接触事故を防ぐため。

左翼(向かって右)の翼の穴はガンカメラ用のもの。

主翼下にあるのは向かって左がラジエターで、右の筒状のがオイルクーラー。
これだけ大きさに差があると、主翼の左右で空気抵抗も結構違いそうですが、
これが原因で操縦性に問題が出た、という話は知りませんから、
意外になんとかなるものなんでしょうかね。



今度は斜め前から。
この機体は、コクピットの背もたれ型防弾板の前に頭部用クッションが付いてます。

20mm機関砲の銃身にキチンと整流用のカバーが付いてるのにも注意。
尾輪とか、胴体後部のリベットとか、機体後半の適当さに比べ、
機体前半の空力面への配慮は、かなりしっかりしています。
なんらかの風洞実験とかで、そういった設計の基礎になるデータが得られてたんでしょうか。

画面左、機首にあるOILと書かれたフタはオイル給油口のもので、
スピットの潤滑オイルタンクは機首下のバッタの腹みたいな部分に入ってます。

さらにその下、機首下面のエンジン(過給器)空気取り入れ口には
異物吸い込みを防ぐための網カバーが付いてます。

左翼下の筒型オイルクーラーはマーリン後期型(2段2速過給器付き)搭載のスピットファイア
から見られなくなるスタイルですが、改めて見ると、なんとも独特な印象があります。



主翼下面から。

Mk.V(5)までの車輪収納用穴の中には、特に何もないのに注意。
対して2段2速過給器を搭載した後期マーリン搭載スピットファイアでは
中に補強用の桁が入っていて、構造的に弱点だったこの部分を補ってます。

機首下のエンジン(過給器)空気取り入れ口の上、主翼付け根近くに、
文字が書かれた丸いフタがあるの、わかるでしょうか。
これがエンジン始動用電気コンセントのフタで、引っぱると開きます。

スピットは電気式のセルモーターによるエンジン始動なんですが、
これもエンジンが止まってると給電が無く、
最初は外部から電気を供給してセルモーターを回す必要があります。
なので、あのフタを開けて、電池車のコードを繋ぎ、モーターを回すわけです。

ちなみにこの機首のコンセントの位置は多くのイギリス空軍機で共通で、
私の知ってる限りでは、ハリケーン、ミーティアなども同じような場所にあります。

ついでに、主脚の付け根部分に小さな丸い輪のついたデッパリがあるのわかりますかね。
あれは折り畳んで収納した脚を固定するためのもので、
脚が折りたたまれた後、主翼内であの部分に棒を差し込み固定します。


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