やや斜め下から。

先に説明したラジエターやオイルクーラー、エンジンの空気取り入れ口はどれも小さめになっていて、
それなりに空気抵抗が考慮されてるのがわかります。
が、この後はひたすらエンジンがパワーアップしてゆくため、これだもドンドン大型化、
主翼の下は凄まじい凸凹状態になってしまうのがスピットファイアの進化の過程です。
もっとも、ここら辺りはドイツのMe109も同じようなものですが。

これは先に書いたように、増大する空気抵抗の力を推進力でねじ伏せてしまえるなら、
そっちの方がずっと意味がある、という事なんでしょうね。



その機首下面をもう少しアップで。
実はこの機体、左翼下のオイルクーラーカバーが潰れてるし、右翼のラジエター前部も少し潰れてます。
さらに手前の胴体下の塗装がハゲてるので、
なんらかの着陸事故を起こしてそのまんま、という可能性が高いです。
ただ機首部下のエンジン空気取り入れ口はきれいなままなので、それほどの事故では無いと思いますが…。

胴体下の赤い丸は投下式燃料タンク(Jettisonable fuel tank )の給油口、
左右の取り外しか効きそうなパネル部がその取り付け部だと思うんですが、
この辺り全く資料がなくてなんとも言えません。

ちなみにスピットの投下式燃料タンクは、主に長距の基地間移動のためといった面が強く、
機体下部に密着して搭載する、いわゆるスリッパ式、丸みを帯びた箱型のものが主でした。
水滴型のよく見る増槽が出てくるのは、Mk.VIII(8)かIX(9)以降のはず。



主翼外側を下から見る。
車輪の外側にある長細いパネルはブローニングの7.7mm機関銃が入ってる部分。

二箇所に見える長い注意書きは、その横の点線部が主翼の頑丈な部分(桁部)なので、
機体整備時などはここに台を当てて持ち上げよ、という指示。
これ以外の部分でそれをやると、外板がベコンと凹んでしまうことになります。

ついでに主翼外側後部のエルロン(補助翼)から先、
丸い主翼先端部は取り外しが可能で、
ここを取り外せば低高度での速度、そしてロール性能を上げた短翼、
いわゆるクリッピングド ウィングのスピットに変身可能です。
この機体でもこの部分にシミがあるので、取り外して運用していた時期もあった可能性があります。

なので、通常翼版と短翼版のスピットファイアは別の機体ではなく、
単にこの部分のパーツを置き換えた同じ機体です。
ちなみに、単に取り外すだけではなく、当然、翼端灯付きの整形板を嵌めます。



ちょっと斜めから。
主翼下で飛び出してるアンテナみたいなのは速度を測るためのピトー管。

この角度から見ても、主翼の薄さがわかりますが、
この薄くて丈夫な構造も(車輪穴を除く(笑))、
翼弦を広く取れる楕円翼にしたから可能だったと見ていいようです。

こうして見ると、手前の筒状オイルクーラーがとても小さいのがわかると思います。


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