お次は下から。
ホントにあらゆる角度から見れたんですよ、この機体。

車輪カバーが半分だけなのは当時のヨーロッパ機では普通の構造で、
時速600km以下程度なら、それほど空気抵抗は影響が無かったようです。
そもそも尾輪も出しっぱなしですしね。



ほぼ真下から。

まだエンジンパワーが無い時代の機体なので、下面の構造もスッキリしてます。
胴体中央、やや機首よりのところで下に飛び出してる小さな箱状のものはエンジンの空気取り入れ口。
高高度の薄い空気を補うため、過給器が必須だった航空機では、
空気取り入れ口は直接キャブレターに繋がるのではなく、
ここからは過給器(ターボチャージャー、スーパーチャージャー)へと繋がっています。

下から見て左側の車輪の内側に付いてる細長い箱のようなものはラジエター。
スピットはMk.V(5)まではこの単体ラジエター構造のため、機体の左右が非対称です。

後に2段2速スーパーチャージャー搭載のマーリン60シリーズ以降を搭載した
スピットMK.VII(7)以降では、さすがにこれでは冷却が追いつかず、
主翼の左右に一つずつラジエータを積むようになります。
(ただしこの時代の機体も全く問題が無かったわけではなく、アフリカ戦線などでは熱対策に悩まされてる)

反対側の右の車輪の下にも、よく見ると細長い筒状のものがあり、
こちらがオイルクーラーです。
あまり他で見ない構造ですが、特に問題は無かったようです。
その代わり、以後、同じようなものも搭載されてないので、
それほど優れたものでもなかったようですが…。



ちょっと下の後ろから。
主翼下面が左右非対称な構造なのが見て取れます。

ちなみにMk.VII(7)&VIII(8)という少数生産された型を別にすると、
マーリンエンジン搭載型のスピットファイアは、最後まで尾輪は収納式にならず、外に出たままでした。
それでもMk.IX(9)では時速400マイル(約640km/h)出たんですから、特に問題は無かったんでしょうね。

尾翼の切り欠きは垂直尾翼後部の舵面を動かすための隙間を確保したもの。
ちなみにスピットでは水平尾翼も楕円翼なんですが、
これがなぜなのかはイマイチわかりません(笑)。
工作が面倒になるワリに、得られるメリットはほとんど無いと思いますが…。


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