■ご町内No.1 スーパーマリン スピットファイア博士への道
とにかく型番の数が多いのがスピットファイアという戦闘機の特徴であり、
空軍の戦闘機型だけでもMk.24まで存在してます。
(一部は試作機、さらに偵察型、海軍型と重複するが、連番であり基本的には欠番はない)
これを全部理解するのはさすがにムリってものでしょう。
少なくとも私には出来ませぬ。
なので、まず話を空軍の戦闘機型スピットファイアに限定しちゃいましょう。
これは大きくマーリンエンジン搭載型とグリフォンエンジン搭載型に分かれますが、
グリフォンエンジン搭載型は事実上、無視していいので(笑)、
今回はマーリンエンジン搭載型だけを考えます。
そうすると、搭載エンジンが1段1速過給器の初期マーリンか、
それとも後期の2段2速過給器の後期マーリン(60シリーズ)かによって、
大筋で以下のようになります。
■マーリンエンジン搭載 スピットファイア 初期型/後期型
初期型スピットファイア(1段1速マーリン) |
Mk.I Mk.II MK.V(5) |
後期型スピットファイア(2段2速マーリン) |
Mk.IX(9) Mk.XVI(16) |
後期型スピットファイア(2段2速マーリン)少数生産型 |
Mk.VII(7) Mk.VIII(8) |
初期型はMk.I、II、V(5)の三機種だけで、
これらはエンジン以外ほぼ同じ機体です。
後期型もMk.IX(9)とXVI(16)の二機種だけで、
こちらに至ってはエンジンがイギリス製かアメリカ製かの差だけで後は同じ機体です。
なので、少なくともこの5機種を知っておけば、ほぼマーリンスピットの全てを極めた、
と断言してしまっても、まず問題はありません。
基本的はV(5)までが初期型、VII(7)からIX(9)までが後期型、
そしてグリフォンスピットの型番である10番台の中に割り込むように
後期マーリンXVI(16)が加わる、という感じです。
ただし後期型には、いろいろあって(笑)上の表にあるように少数生産に終わった
高高度戦闘機のMk.VII(7) 本来の主力機だったはずのMk.VIII(8)が
居たりするんですが、この点はまた後で。
さらに100機ほど造られてしまった、扱いの面倒な少数生産の初期型、
高高度戦闘機のMk.VI(6)があるんですが、この点もまた後で。
でもって、初期型スピットと、後期型スピットの識別は
正面から見てしまえば意外に簡単なので、
最初にそれを確認してしまいましょう。
こちらはMk.I、II、V(5)の初期型スピット。
南方用防塵装置付きのアゴスピですが、その点は気にしなくて大丈夫。
とりあえず、注目点は2箇所。プロペラと、主翼の下です。
まずプロペラが3枚なのが、初期型スピットの特徴その1。
ただし100機だけ造られた高高度戦闘機Mk.VI(6)だけは例外で、
1段1速マーリン(マーリン47)搭載のくせに4枚ペラとなってます。
ややこしいなあ、もう。
が、この機体は写真はあまり残ってないし、
実機なんて微塵も残ってないので、識別の必要に迫られる事はごくまれでしょう(笑)。
とりあえず初期型はプロペラ3枚と覚えてください。
もう一つの特徴が、主翼下の装備。
初期型のMk.I、II、V(5)では、右翼下に箱型ラジエター、
左翼下には筒状オイルクーラーが付いており、左右非対称です。
対して後期型の主力、Mk.IX(9)とXVI(16)の
2段2速過給器搭載スピットファイアだとこうなります。
少数生産のMk.VII(7)とVIII(8)も基本的に同じと思ってください。
まずエンジンの高出力化に伴い、プロペラが4枚に増えてます。
これが一番目立つ特徴。
さらにエンジン下の冷却装置が大きな箱型の
ラジエター+オイルクーラー×2個になり、左右の主翼で対象になりました。
この二つの点を見れば、ほぼ問題なく初期型と後期型の識別はできます。
ついでによく見ると機種下の空気取り入れ口が、
後期型の方が大きいのですが(2段過給の方が空気の流量が大きい)
今回は比較の初期型がアゴスピなので、この点はちょっと判り難いかも。
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