次は主脚部と、主翼下面あたり。
下から見ると、フラップとエルロン(補助翼)の取り付け部が
上面と違って、ほぼ同じ位置で一直線になってるのにも注目。
ファウラーフラップとはいえ、なんでこんな構造になってるかは不明。
1932年ごろ、アメリカのファウラーさんが特許を取得したのが、
このファウラー式フラップで、後部に展開して翼面積を広げてから、
すっと下に曲がり、さらに主翼との間に隙間を作って、
フラップ上面に速い気流が流れ込むようにしています。
(個人の発明だがNACAの資金援助は受けていた)
現代のジェット機の多くが採用しているタイプのフラップの元祖です。
で、これを採用した強風、紫電、紫電改ともに
まだ特許は有効な時代だったはずですが…。
日本では申請してなかったのかしらん。
脚のカバーが車輪部と脚部に分かれているのはゼロ戦などと同じく、
この時代ではよく見られた構造。
脚部のカバーは緩衝装置(オレオ)の上、車輪部のカバーは下に付いてますから、
重量がかかると脚部のカバーが下の車輪部のカバーに重なって来ます。
その重なりの幅から、離陸可能な機体重量を判断するのが、
あの赤黄青の横棒で、青までの沈み込みなら安全、黄色で注意、
赤で無茶言うな、という感じになっています。
ちなみに、武装搭載前からこれが黄色や赤にまで沈んでる場合は、
緩衝装置(オレオ)の油漏れだ、という事になります。
反対側の脚と20mm機関砲周辺。
主翼から飛び出してる20mm機関砲の基部から、
それなりにムリして積んでるのだなあ、という感じが。
しかしゼロ戦といい、このオモチャみたいな20mm機関砲の砲口部は
なんとなく安っぽい印象がありにけりかも。
主翼下面、脚の横で多数開いてる穴は機関砲の排出口と爆弾装備のためのもの。
一番奥に二つある、ロボットの目みたいな縦長の穴が20mmの薬莢排出口、
その間の横向きの穴は、手前の太い方が装弾クリップだけの排出口。
それ以外の細長い横長の穴は爆弾の装着&固定用で、
薬莢排出穴の前には爆弾装着装置類が見えてます。
脚部を内側から。
カバー内部はサビ止めだけのゼロ戦と違って黒色塗装になってますね。
車輪部まで繋がっているチューブはブレーキ用の油圧チューブ。
今度は正面から。
脚部のカバーと車輪部のカバーの位置関係がわかります。
車輪部の上、銀色に光ってる部分が緩衝装置の沈み込み部分で、
離陸して荷重が消えると、ここがビヨーンと伸びます。
油圧式なので、長期間放って置くと油が漏れて作動しなくなるため、
手入れの悪い航空博物館では、この部分がヘタっていて、
機体が本来の姿勢よりオジギしてる状態の事もありにけり。
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