中心部主翼下面。
車輪についてるのは機体を持ち上げる三脚で、これで機体重量がタイヤにかかるのを防ぎ、
タイヤのヘタリを防止する展示方法です。
おお、すごいなタイ王立空軍博物館、という感じですが、2004年に来たときは
こんなもの無かったですから、最近始めた工夫でしょう(この写真は2014年撮影)。

エンジンカウルの下から斜めに飛び出してるのは排気管。

ついでに車輪のスパッツの上に足掛けの滑り止めが貼ってありますが、
この機体、本来は後ろから乗り込むはずで、なんでここに足掛けがあるのかよくわからず。
整備作業用ですかね。



意外に見ない気がするスパッツ部のアップ。
上から飛び出してるのは、先に説明した排気管。
タイヤには英文の注意書きがあったので、オリジナルではないでしょう。

この手の大戦機の保存で意外に大変なのはこの手のゴム製品で、
さすがに数十年も経つとボロボロに劣化してしまいます。
その上、ちょうどいいサイズの代用品が現代では生産されて無かったりするので、
思った以上に維持管理が大変な部分らしいです。

まあ、適当にやっちゃう連中は、適当にやっちゃうんですけどね、ここら辺り(笑)。



スプリット式フラップの構造がわかる写真。
これを下げることで主翼の揚力が上がって、高迎え角、そして低速でも失速を抑える事ができます。
なんで?というのは、星の数ほど説明の方法があって難しいので、今回はパスします。

ついにで、こんなのをガバッと開けば空気抵抗も増えてしまうじゃん、という感じですが、
着陸時にそれはむしろウェルカムで、車と違って四輪で地面に接してるわけでじゃない航空機では
着陸時にどうやって減速するか、が大きな問題になります。
エンジンを絞っても慣性で暫くは同じような速度で飛んでますし、
さらには高度を落とす、つまり位置エネルギーの速度への変換が加わり、むしろ加速されてしまいます。
こうなると、そう簡単には機体は減速してくれませぬ。
が、減速がうまく行かないと、スピードオーバーで、最悪、接地時に脚が壊れ、
さらに着陸できたとしても止まる事ができずに滑走路を飛び出すハメになります。
この点、フラップというのは速度は落ちるは揚力上がるわで、夢のような装置だったのです。
近代航空機にとって、ある意味最大の発明だったと思います。

ただし先に書いたように発明は1920年(特許取得が1924年)なんですが、
その普及は1930年代になってしまいます。
これは1920年代の航空機ではそこまで高速ではなかったのと、
揚力には困らない複葉機が主流だったからでしょう。

が、当時、速度記録に挑んでいた高速機では単葉で高速が出ましたから、
フラップ無しでは離着陸に無理がありました。
シュナイダートロフィーのような高速レースが水上機レースになったのは、
海の上なら、いくらでも離着陸距離が取れる、
という水上機の特性が重視されたからだと思われます。


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