■ムスタングのお話の始まり
というわけで、P-51ムスタングのお話を今回から始めますが、
最初にざっと引用資料の紹介をやっておきます。
まず市販の書籍としては
●Motorbooks
International
Warbird History P-51 MUSTANG
定番シリーズの本ですが、最低限必要な情報がキチンと載ってます。
ただしそれ以上のものではないので、あくまで基本の確認用。
●Mustang Designer: Edgar Schmued and the
P-51
Ray Wagner
がエドガー・シュムードの死後、その生前のインタビュー、
メモ、そして1980年代にまだ生存していた関係者にインタビューしてまとめた本。
基本中の基本と言っていい本なのに、日本ではほとんどその内容が知られてない気がします。
すなわち私の知る限り21世紀に至るまで日本語でまともに
P-51の設計過程が解説された事は一度もないはず。
●世界の傑作機 No.75 &
No.79
日本語資料の定番中の定番。アタリハズレがあるシリーズ(笑)ですが
アタリの時はヘタな英語圏の資料よりよほど充実した情報源になります。
自分は洋書をこんなに買ってるんだよ、という変な自慢をする連中より、
このシリーズをしっかり読んでる人の方がよほど信頼できると考えてよいです。
(ただし時々、地雷のようなハズレがある。常にその筆者は同じなので、慣れれば買わずに済む)
この2冊はややアタリの部類で、日本語の資料としては今でもベストでしょう。
問題が無いわけでは無いのですが、そこらは今回の記事で無言でフォローします。
というあたり。これら全て90年代の発行なのは偶然か、
あるいは飛行50周年を狙って、当時出版が集注したのか?
他に参考とする資料としては
●PILOT
TRAINIG MANUAL FOR
MUSTANG
その名のとおり、陸軍航空軍発行のパイロット訓練用教科書。
今回参考にしたのはカラー印刷のデラックスな1945年8月改訂版。
冒頭はいきなりP-51の歴史解説だったり、機体の構造透視図まで載ってって
単に読んでるだけでも面白いです。
さすがマニュアル帝国アメリカ、という感じですね。
●イギリス空軍によるテストデータ
この時代のアメリカの飛行テストは必要最低限の数字しか無かったり、
どっちが優れてる、という内容で具体的な数字が無かったりするので、
結局、イギリス空軍の試験データが最も信頼できると判断しました。
●英語圏のWebフォーラムで公開された各種資料
あちらさんの航空機フォーラムでは時々、
あっと驚くような資料がアップされます。
今回は水滴風防の辺りで、引用させてもらう予定。
といったところでしょうか。
それ以外、何か出てきたら随時、記事中で紹介します。
写真に関しては海軍と違って米空軍はほとんどまともに一般公開しておらず、
さらに引用可能な状態で公開してるのは空軍博物館ぐらい、
という状況でして、とりあえず、そこから数点、引用させてもらう事になると思います。
ついでに解像度の低い、すなわち小さい写真も多く、
この辺りは、ちょっと寂しい展開になるかも。
ちなみに特に引用元記載のない写真は、当然、自分で撮影して来たものです。
では、さっそく本編に入って行きましょうか。
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