少し下から。

こうして見ると機首周りは、同じDB600系エンジンのMe-109に少し似てますね。
機首下の出っ張りがオイルクーラーで、機首横の筒状のものは
エンジンの過給器につながる吸気口です。

DB系エンジンは左横に吸気口がある、という変な特徴があるため、
Me-109もこの機体も、こういった位置に
煙突状の空気取り入れ口が飛び出す事に。
先端のヤケに長い筒部分は砂漠地帯用の防塵フィルターなんですが、
この防塵フィルター、全生産機に最初からついてた、という話もあります…。

主翼に書かれた州の字のようなマークは、ファシスト政権下のイタリア国籍マーク。

ファシストの語源はラテン語のファシス(fasces)で、
これは薪を束ねて筒状にし、そこに斧を縛り付けたもの。
なんだそれ、という感じですが、これは古代ローマの執政官が持っていたもので、
当時の権力と司法権の象徴だったのだそうな。
ちなみにこれがファシズムの語源でもあります。
それが3本並んでるデザインなんですが、なんで3本なのかはわかりませぬ。

ついでながら、イタリアのファシストが
かなりこのイメージを悪化させちゃってますが、
それ以前は、ファシスは純粋に権力の象徴だったようで、
アメリカのリンカーンメモリアルの台座にも
このファシスがあったりします。



脱線ついでに、リンカーン大仏ことリンカーンメモリアルのリンカーン像、
その台座の前にある束が実はファシスです。
なので本来はそれほど悪いイメージの象徴では無かったようです。



今度は後ろから。この写真も実際の色味に近いですね。

尾翼の後ろに円錐型の胴体が出っ張ってるも、特徴のひとつでしょうか。
着艦フックなどが不要の陸上機で、ここまで後ろが出っ張ってるのは珍しい気も。
この構造にしちゃうと、垂直尾翼の舵部分の面積が狭くなるので、
あまりメリットは大きくないはずですが…。

ついでに後部尾輪、あまりにきれいなんですが、オリジナルかなあ…。



尾翼部アップ。

水平尾翼前に筒状の棒が出っ張ってるのに注目。

この棒を台に載せて尾部を持ち上げ、エンジンの整備をしたり、
機銃の試射をやったりして、必要な調整をやるわけです。
当然、通常時にはこの棒は抜かれてますが、
この機体では、ぶら下げ展示用に棒を残し、ワイアを結んで利用してるのでした。
普通の展示ではあまり見れないもので、ちょっと注目です。

で、とにかくいろんな書き込みがあるのがイタリア機の特徴で、
尾翼にはマッキ社のC.202だよ、と流麗な書体で書かれてます。

その下にはセリエ9、の文字があり、
これはイタリアサッカーのセリエと同じ意味のはずですが、
機体の改良番号らしく9というのはかなり後期の生産型です。
ただし、先に書いたように、この数字も正しいと言う保証はありませぬ。

その下にあるのはkg2439で、これ機体の乾燥重量らしいです。
この書き込みもイタリア機の特徴の一つかもしれません。

尾翼の白い十字架は王立イタリア軍の象徴で、
その中に描かれた記章(Insignia)は当時の
王立イタリア空軍(Regia Aeronautica Italiana)のものです。
この時代はまだ王国なんですよね、イタリア。

ちなみに当時のイタリア空軍機の尾翼には基本的に全機、
この記章が入ってたそうで、そんな手間かけてるから
量産できないんだよ、と思ったり(笑)。
もっとも実際は一種のシールか何かで転写してたようですが。
ちなみに、良く見るとこの記章も、中央の白十字の左右に
ファシスが二本並んでる構図となってます。

その前の白帯の跳ね馬マークは部隊マークですが、詳細は不明。



尾翼部と尾輪部アップ。
水平尾翼の昇降舵(エレベータ)は羽布張りですね。

尾輪が意外に凝った構造になってて驚きました。
右側で、ラジエター後部の中が見えてるのも、ちょっと注目。


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