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コクピット部アップ。こうして見るとホントに窓枠だらけで、もう少しなんとかならんのか、と思います。 Ju-87は二人乗りで、前部席は当然パイロット、後部席は無線手兼後部銃手です。航法も後部席でやったと思うんですが確証は無し。 キャノピー(天蓋)はスライド式で後部に開きます。コクピット下の主翼上面に見える黒い帯状のものは搭乗時にここを歩く滑り止め。 後部座席の上に飛び出してるのはアンテナマストで、ここから垂直尾翼にまで張られたワイアが無線用のアンテナ線です。これはその支柱に過ぎないので注意。 機体上の棒が単体でアンテナになるのは高周波無線、主にVHF以上の周波数が使われるようになってからです。 ちなみにこういった機種なので、脱出には気を使っており、この機体では失われいますが、コクピット内にあるワイアを引っ張ると、天蓋(キャノピー)部は、簡単に全部投棄できるようになっていました。 もうちょっと横から。 パイロットの頭の横に見える赤い線は機体の急降下角度を知るための目盛り。これと地平線を比べて自機の降下角度を確認します。 ただしマニュアルを見ると本来は反対側、左側に描かれていたもののようですが…。 そもそも当時の写真では確認でき無い部分でもあり、実際、どの程度使われていたかは謎でもあります。 よく見ると、コクピット正面のガラス部が全く厚みが無いのが判ると思いますがB型までは防弾装備はかなり貧弱で、コクピット正面の防弾ガラスすらありません。 防弾装備が実戦の戦訓から強化されるのは後期型のD型からでした。怖かったと思いますよ、これ。 後部機銃は7.92oなので、気休めに近いものだったと思っていいでしょう。ちなみに先にも触れた日本での試験によると、銃座周辺の防弾装備のため、後方視界はほとんどなく、実際は空戦なんてやる気はないのではないか、とまで述べられています。 いや、ドイツとしてはやる気はあったはずなんですが、ただでさえ豆鉄砲な上、こういったハンディを背負っていた結果、Ju-87はバッタバッタと撃ち落とされる事になるわけです。 コクピット下の87の数字が入った黄色三角マークは使用燃料の指示。ドイツ空軍では一般的だった87オクタン燃料です。 戦争開始直後から100オクタンのガソリンを使い始めていたイギリス空軍に比べると、この辺りのオクタン価の低さ(ノッキングが起きるのでエンジンの圧縮比を上げられない)もまたドイツ空軍の泣き所でした。 ちなみに欧州とアメリカではオクタン価の計算方法が異なり、ドイツ式のオクタン価87はアメリカ式だとさらに低い数字になるはずです。 逆側から。 コクピット下、胴体横に三つほど見えてる細長い穴は搭乗時に手や足を掛けるもの。先にも書いたようにこれは左右にあります。 パイロットと後部座席の間にある骨組みパイプは機体がひっくり返った時、コクピットが押しつぶされないよう、搭乗員を守る支柱です。 機首部に見える赤いASMのマークは詳細不明。 オイルタンクの側なので、その指示かもしれません(左下の丸いフタがオイル給油口)。 少し上側から。 機首部上のオイルクーラーの形状がよく判るかと。 パイロット側のスライド式キャノピーは、そのままだとアンテナマストにぶつかるため、中央に切り欠きがあるのも見て置いてください。 機首に下を向いたカラスのイラストが見えますが、これは1/St.G1の部隊章。その下、ラジエター横の赤い手書き文字はラジエター用不凍冷却液の指示書きです。 反対側からややアップで。 機銃部はあの先にカバーがあって、こんなに銃身は飛び出さないはずなんですが、現在はそれが失われてしまってます。 機銃後部にうっすら見えてる四角いパネルは弾薬補給用のもの。 主翼の機銃と着陸灯の間の穴はガンカメラ。 これは選択式で通常は穴の開いてないカバーを付けており、ガンカメラ搭載時のみ、この部分の楕円形のパネルを外してこの穴開きパネルを付けます。 穴が開いた状態の機体は意外に珍しいものでしょう。 ラジエター後部が開閉可能なラジエターフラップになってるのも見て置いて下さい。ちなみにこれはB型の最終量産化型、B2型から採用されたものです。 |