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やや斜め下から。 主翼の下に飛び出してる二本組の板状態のものはダイブブレーキで、急降下中に速度が上がり過ぎないようにこれを降ろして空気抵抗を得ます。 800q/h辺りを超えると例の翼面上衝撃波が発生して、操縦困難になりますから、この装備は必須でした(当時はなぜ操縦困難になるのか判って無かったが)。 これは主翼内には収納されず、水平飛行中は横になって主翼と水平な形とし、急降下時には油圧駆動で押し出して展開したのです。 当然、これまた抵抗源になり、低速化の一因となってます。このため対戦車戦が中心となり急降下が不要になった後期型(おそらくD5型以降)ではこれを外してしまいました。 ちなみに実際の急降下爆撃時には両翼のフラップも下げてツッコミます。 ついでながら今回の写真は2017年に撮影したものですが、2008年に訪問した時はダイブブレーキは折りたたまれた状態で展示されてました。 これ以外にもいくつか可動部分が動いてる状態に変更されてるので、その間に一度、なにか補修をしたのかもしれません。 ちなみにこのB型の前の極初期型、A型を日本陸軍が研究用に2機購入しています(1938年1月日本着)。 その試験に立ち会った陸軍の木村 昇技手によるとJu-87に対する所見は極めて好評で、操縦性は良い、急降下爆撃の命中率は高い、とべた褒めだったようです。特にこのダイブ ブレーキには驚いたようで、こんな手法で速度を調整するなど、日本では思いもよらなかった、としています。 ただし結局、日本陸軍は急降下爆撃と言う分野に興味を示さず、それどころかまともな攻撃機すら持たずに終戦を迎えます。 機体下面をややアップで。胴体下には250s爆弾、主翼下には 50s爆弾が計4発積まれてます。 ちなみに主翼の爆弾を無くし、後部席の搭乗員無しの一人運用で、というかなり特殊な条件でなら500s爆弾まで積めましたが、実用性は低かったように思います。 胴体下の250s爆弾は、アゴラジエターの後ろに完全に隠れてしまってるのに注意してください。当然、プロペラの回転面にも引っかかります。 このため、降下中に普通に投下したのでは自分の爆弾でラジエターとプロペラを破壊、さようなら、という事態になりかねません(空気抵抗の関係で切り離した爆弾の方が高速で落下する)。 よって写真に見えてる投石器のような投下装置があり、爆弾が懸架から外れるとこれが胴体下から爆弾を持ち上げ、ラジエターとプロペラの下を通るように投下します。 大さっぱな図にするとこんな感じですね。 横から。 さすがゲルマン民族、脚が長いと思ってしまいますが、これは飛行中で機体の重量が掛かってないためです。地上では緩衝装置が縮んでもっと短くなります。 コクピット周辺も空気抵抗なんて知った事か、という潔い設計で、しかも窓枠だらけ。まあ、基本設計が古いので仕方ないですが。 ついでに主翼下面後方を見ると、動翼、フラップやエルロンを動かす索(ロッド)も豪快に剥き出しです。 (ただし先端が紡錘形になってるのはエルロン(補助翼)のフラッター(振動)防止用のオモリ、いわゆるマスバランス) この辺りは急降下爆撃の高速飛行中に確実に動かすため、頑丈なものにしてあるのかとも思いますが。 やや斜め後ろから。 前部のゴテゴテ感に比べると、細くかつシンプルにまとめられた胴体後部が特徴的です。 |