胴体後部を下から。

胴体が単純な樽型ではなく、円筒形の下部に背ビレ状の上部構造が乗っかり、
その背ビレの先端部にコクピットがあるのが判ります。
この背ビレ構造のためか直進安定性は優れていて、射撃時の機体の座りがとてもいい、
とイギリス海軍のレポートでは指摘されてます。

ラウンデル(国籍章)の左の穴はここに棒を通して、機体後部を持ち上げるためのもの。
これによって機体を水平にして機関銃の射線調整を行ったり、エンジン整備をやりやすくします。

尾翼部は、垂直尾翼の方向舵、水平尾翼の昇降舵ともに端っこが少し前に出っ張ってますが、
これは釣合昇降舵(horn balance elevator)のため。
釣合昇降舵についてはこちらで説明しました。

ついでにそれぞれの舵についてる、方向修正用のトリムタブが意外に大きいのも注意。
当時としては平均的とはいえ、決して長くない胴体なので、
尾翼位置が機体の重心点に近い分、大きな力が必要とされたのかもしれませぬ。
(重心点にかかる回転力(トルク)=力×半径)
トリムタブについても上でリンクしたページで説明してあります。



胴体下部前半。
F-15のFの字の下にあるカマボコ型のフタは足掛けで、
ここをつま先で押すと穴が開いています。
これに足をかけて乗り込むもので、F4Fでは左右どちらにもこれがあります。

よく見ると胴体下面に手前から赤、緑、黄の信号機のようなランプが並んでますが、
これはアメリカ軍機に見られる信号灯(Signal light)で、
敵に見つからないよう無線封鎖中、あるいは無線故障時に
艦上、あるいは僚機との連絡を行うもの。
といっても、自分から一方的に発光するだけですから、どんな使い方があったのが
イマイチ不明で、操縦手帳などにもその使い方が出てません。
何気なく、アメリカ軍機の微妙な謎となってる部分です。



主翼下面。
レストアをキレイにやり過ぎ、という気もしますが、
それでも胴体に比べて非常に丁寧に造られてるのがわかります。

主翼の右端のほうで飛び出してるのは速度測定用のピトー管。
これは折り畳めない主翼のタイプで、折り畳み式になった後は
スピットファイアのようなL型ピトー管に変更されます。
何か危ないんですかね。



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