前ページに載せたのと同じような写真ですが、
こっちは主翼端まで画面に収まってるので、これも載せておきますね。
人類の99%が見たことないと思われる、斜め上からのCR.42(笑)。
主翼の上に書かれた州の字のようなマークは、ファシスト政権下のイタリア空軍国籍マーク。
ファシストの語源はラテン語のfascesで、これは古代ローマの執政官が権力の象徴として持っていた品から来ており、
この変なマークはそれをデザインしたものらしいです。
ちなみにfasces というのは薪を束ねた筒状のものに、さらに斧を縛り付けたもの。
文字で説明すると、なんだかよく判りませんが(笑)、まあ、当時は何かの意味を持っていたのでしょう。
で、そのシルエットを三つ並べたのが、このマーク。
で、この写真で注目して欲しいポイント、まずその1は、例のエルロンを動かすワイア。
暗くて判り難いですが、手前のファシスト党マークの横に飛び出してます。
次にその2、この機体最大の謎が、主翼の後ろの方、エルロンの前に見えてる小さな板。
ファシストマークの奥、例のワイアの隣に、横長の板に二本の支柱が付いた、
鳥居のような形状になってるものがあるの判るでしょうか。
どうもこれ、スポイラーじゃないかと。
ただし、この機体のルーツとなったCR.32では、この場所に、謎の小さな翼が付いてました。
CR.32の場合、ホントに支柱で支えられた、数十cm前後の小さな翼がここにあって、
正直、これも未だその目的がよく判らない装置だったりします。
そんな場所についてるだけに、CR.42でも何か別の用途もあったのか、という気もしますが、
何せこれまた資料がない機体なので、よくわかりませぬ…。
ちなみに、スポイラーというのは、主翼の上面に飛び出して、空気の流れをせき止める装置。
飛行機の主翼は上面の空気が下面の空気より早く流れる事によって生じる
気圧差で浮き上がって(吸い上げられ)ますから、
その上面の流れの速度を落としてしまえば、揚力は小さくなります。
両方の翼でこれをやってしまうと機体全体で降下してゆくことになりますが、
片方の翼だけで行えば、そちらだけが傾く事になり、
機体はその方向に引っ張られ、旋回に入る事になるわけです。
(機体が傾けば主翼に発生してる揚力の向きが斜め方向に向くから)
通常はエルロンでこの操作を行うわけですが、構造上、エルロンが付けられない機体では、
このスポイラーで機体を操作します。
あるいはエルロンと一緒に装備する事で、さらに旋回能力を高めたりもするわけです。
とはいえ、第二次大戦期の戦闘機ではあまり見ない構造ですし、
元々、運動性のよい複葉機につけるだろうか、という気もします。
が、例の主翼下面の謎の板、そしてイギリス空軍が驚いたという運動性を考えると
(当時、まだグラディエーターは現役でイギリスにも複葉戦闘機はあったのだ)
何かそういった装置ではないなあ、と思うわけで。
ただしあくまで推測の域を出ないので、その点はご注意ください。
斜め前から。
エンジンカウルの下についてるダクトは、同じ系統のエンジンを積んでるMc.200では
エンジン用(キャブレター)の空気取り入れ口があった場所なので、これも同じだと思われます。
主翼間の支柱、手前に何か黒い棒が付いてますが、おそらく対気速度を計るピトー管かと。
ただ、先端部が微妙に曲がってるのが気になるとこで、もしかしたら、何か別のものかもしれません。
イタリア機はただでさえ資料が少ない上に常識が通用しないので、ホント、よくわからんのです(笑)。
エンジンカウル周辺のアップ。
先端に付いてるスピナー、よく見ると根元に切れ目が入ってます。
これは取り外しの時にあれが開いて外れるのか、と思ったんですが、
真ん中の切れ目は、どう見ても途中までしか入ってませんね。
…これも取り合えず、謎って事で(笑)。
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