■まっすぐに見つめたいのに…
はい、これが正解。
艦の中心から、ざっと750m左前方でした。
ペロ君の予想は、こうだったね。
これは447m左前方だから、ざっと300mほど外れてる。
残念、これだけズレると正確な照準は無理だから、
次回の砲撃で命中弾が出る確率はかなり低いと思うぞ。
「うーん…だって、この画像じゃ、こんなに離れてるようには見えないぜ」
実はその通り。その意見は正しい。
正確な観測を行うには、ほぼ敵艦の真上に張り付く必要があるのさ。
少なくとも、このくらいに。
これなら、かなり正確な情報が読み取れるから、
砲撃誘導には極めて有利となる。
「でも、そんなの不可能でしょ」
当然、不可能だ。
それどころか、現実的な観測距離である15km向こうからではこうなる。
さすがに高度1000mではどうしようも無いので、高度3000mから見てみよう。
「なんか海が変ですよ?」
細かいトコは気にするな。何事にも限界とか、精一杯ってのはある。
とりあえず、これで100m単位の測定ができるか、を考えよう。
「キビシイね」
だね。現実には、雲が出てたり、ヘタをすれば煙幕張られてしまうだろう。
「でもさ、望遠鏡で見ればいいんじゃないの?」
実はそれも厳しいんだ。
これが当時、海軍でよく使われてた7倍の手持ち双眼鏡で見た場合の視野。
視野角8度前後の望遠像だ。
まあ、あくまでだいたいではあるが、それほど大きくは違わないだろう。
六角大王、安いソフトのくせに、こういう機能は充実していて助かるな。
「何か、水柱と目標の距離が短くなってない?
あの船体が200mだとすると、水柱まで2隻分、
400mあるかないかという微妙な距離のような…」
これが望遠レンズの特徴なんだよ。
望遠鏡で視界の一部を拡大すると、全体が平面的な画面になる。
つまり、奥行きが失われるんだ。
その結果、着弾観測でもっとも重要な距離感が無くなってしまうのさ。
これでは意味がない。見えるのはせいぜい数秒間だ。
この視野から、両者の正確な距離を読み取れる人間はいないだろう。
「あれま」
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