■袋小路はよい小路
「つーか、そもそも飛行機と戦艦主砲の照準に、どんな関係があるわけ?」
元々の発想は、第一次世界大戦時の
陸上長距離砲撃における観測気球の活躍がきっかけだ。
「偵察用の気球?」
それは目的の約半分。残りの主要目的が着弾観測だったんだよ。
「着弾を見て楽しいの?」
戦艦の長距離砲撃戦で見たろ?
陸上の長距離砲撃も同じで初弾ではほとんど当たらない。
一方、陸上での長距離砲撃では、
目標が時速40kmで元気に突っ走ってることもないし、
ましてや自分の大砲が時速40kmでどこかに走って行ってしまうこともない。
つまり互いに固定座標同士だから、
着弾観測による射撃修正法は極めて効果的だったんだ。
「へー」
でもって、陸軍とゴキブリがキライでたまらない海軍が、
さっそくこれを海上砲撃戦に採用して陸軍よりもウマくやろう、と考える。
おそらく、ここら辺で先頭きってチャレンジを始めたのは
イギリス海軍じゃないかと思うんだが、とにかく戦艦に観測気球を積んで、
これで着弾観測をやろうとした。
「で?」
ダメでした(笑)。
なにせ当時でも戦艦の速度は30km/h近くは出たし、砲撃の衝撃波もバカにならず、
観測気球に乗った連中は引きずりまわされるは、吹き飛ばされるは、
結構悲惨な目に会うことになったらしい…。南無〜。
「じゃあダメじゃん」
そんなところに登場するのが、飛行機、そしてカタパルト装置なのさ。
気球はダメでも、戦艦から切り離されて飛行する航空機ならいけるんじゃない?
と誰でも考えつくが、普通、戦艦から飛行機は飛ばせない。
そこで登場するのが、日本語にすると投石器となるカタパルト、
その名の通り飛行機をブン投げて、強制的に離陸させてしまう装置だ。
動力には火薬(笑)、圧縮空気、油圧、蒸気圧などが使われる。
航空機用カタパルトは、そもそもライト兄弟、さらにそのライバル ラングレー教授が使ってた
それこそ歴史の古い航空装置で、基本的にはアメリカで発展する。
これが1920年代になると艦載用としても実用的な装置となり、
1922年前後から、アメリカの戦艦、巡洋艦といった大型艦に搭載されて行くようになる。
「よかったね」
まあ、実はカタパルト前にもいろいろあったんだが、今回はいいや。
「よくねえじゃん…」
矢印の先にあるトラス鉄橋みたいな部分がカタパルトのレール。
この上に飛行機を乗っけ、動力で引っ張り、急加速させて「射出」する。
大和のは確か火薬式じゃないかと思うが、よく知らんので違うかも知れない(無責任)。
当然、これは発射専用で、着陸はできない。
よって、戦艦などに積まれる航空機はゲタばき、つまりフロート付きの水上機となり、
帰還時は水上に着水して、クレーンで船上へ引き上げてもらう事になる。
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