■そして誰も当たらなくなった
少し具体的な話をしようか。
まず、地球の自転の特徴を考えたい。
地球はほぼ24時間で1回自転してる、この点はOK?
「そりゃそうだろ。当たり前の話じゃん」
では、次にその速度だ。まず、赤道上。これは約40050km前後の長さがある。
「…すると?」
24時間でこの距離を回ってるのだから、24で割れば時速が出る。
これは1668.8km/hだ。音速を超えてしまってる(笑)。
高高度を飛行するジェット旅客機の1.5〜1.6倍くらいの速度だね。
「あれま。地球って速いんだね」
まあね。だが、地球は高緯度、つまり南北の両極点に近づけば近づくほど、
その自転の中心である地軸からの半径は小さくなる。
つまり、円周も短くなるから、1日で回る距離も少なくなり、
当然の結果として速度も落ちる。
たとえば緯度45度の地表だと自転速度は1180km/hだ。
赤道付近に比べると500km/h近く遅くなる。
そして、これが極点になると、移動距離は0と見なせてしまうから、速度も0だ。
「あれま、落差激しいね」
うむ。では、その落差がどういう結果を産むか、を考えてみよう。
ご覧のように赤道に比べれば緯度45度の円周ははるかに小さい。
この結果、赤道との速度差は500km/h近くにもなる。
ちなみに、緯度には上の図のように地球の中心点から測る地心緯度と、
地球表面(ジオイド面)の鉛直線から求める地理緯度(測地緯度)がある。
なぜ複数の緯度の定義があるのか、というと、
地球が根性ナシのため、遠心力で歪んで楕円体になってるからだ。
ここでは話の都合上、わかりやすい地心緯度を使っているが、
普通、地図などでは地理緯度を使う。
が、両者の差はkm単位で考えるなら微小と考えていいので、
今回のような話なら、特に意識しなくても大丈夫でガンス。
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