■アタック ノーワン? アタック ナンバー ワンと読むんですよ、サー
魚雷の照準に必要な要素その1として、魚雷の発射角度、
すなわち目標艦の進路と未来位置でぶつかるラインの角度があります。
で、なんぼラインが正しくても、相手も魚雷も動いてますから、
200m前後の全長の船に、特定のポイントで命中させられる時間幅は数十秒程度、
よって、魚雷の速度も重要です。これがその2。
これを間違えると、両者すれ違って終ります。
で、命中ポイントと速度から逆算すれば発射タイミングは自動的に出ます、サー。
「なんとなくわかるけど、
得られる情報が相手の艦を見るだけじゃ、打つ手がないんでないの」
考えるんです。考えるんですよ、サー。
犯人はかならず現場に戻って来ます。
「いや、別に犯人いないし」
とりあえず、ここは図にしてみましょう。…私が(涙)。
「ほんと、今回は苦労してるね。さすがに同情するよ…」
とりあえず、自分は動いていない、という設定にします。
実際は自分の動きの要素を取り払らうように計算するのですが、
自分が止まっている、と考えた方がラクですし、
やってる計算は一緒ですから、これで行きます。行かせてください(涙)。
ついでに、演習の話ですから、目標は回避運動なんかしないステキな船、
すなわち「雷撃屋にとって夢のような」標的であるとします(笑)。
まずは、相手を見つけました。すべてはここから始まるわけで。
とりあえず、相手の進行方向と速度を測定し、
その先、一定時間先の相手の未来位置に向け魚雷を発射する必要があります。
そのためにどんな情報が必要なのか、を考えます。
実は主砲の発射時にも目標の向きと速度を測定しますが、せいぜい数十秒で到達、
しかも砲弾が数百メートル近いエリアに分散落下するため、
それほどの精度は要求されません。
が、魚雷は、到達まで長時間かかり、かなり先の未来位置を予測する必要があるので、
わずかな数字のズレが最終的に大きなズレにつながりますから、この点、シビアです。
最初は図面上で自分の位置から、目標の位置まで直線を引き、これを「照準線」とします。
以後、この「照準線」を基準に考えて行くことになるのです。
魚雷の発射角度、射角もこの照準線からの角度で示されます。
で、目標も商売ですから、移動します。
この移動する線を的射線と書きます。
読み方は実は知りません(笑)。まとしゃせん、だと思いますが。
この的射線と照準線の作る角を方位角と呼びます。
これが目標艦の進行方向になるわけです。
的射線の延長線上、未来位置に向けて魚雷をぶっ放すわけです。
この魚雷の射線を射程と呼びます。
で、両者が交わる点が魚雷の命中点で、ここに向けて魚雷を発射したいわけです。
両者が直線移動している以上、交差するのポイントは的射線上の1点のみです。
その位置は目標艦の方位角(進行方向)と速度、そして魚雷の速度で決まります。
魚雷の速度設定が必要なのはこのためです。
魚雷の速度が決まれば、命中ポイントは一箇所だけなんですから、
上の図で最後に残った角、射角は自動的に決まります。
この結果、指示された射角と速度で撃てば、
「よほど大ポカをやるか、相手が回避運動をしない限り」当たるのです。
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