■人間の限界に挑戦してみよう

望遠倍率上げたぜ、10倍なんかにしたらもう無敵だぜ〜
と言う感じですが、じゃあ測距儀では、どこまで計測できるの?
物理的な限界はないの?という点を考えてみましょう。
結論から言うと、物理的な限界はあります。

まず、問題になるのは人間の目の分解能力。
人間の目でどこまで小さな角度差が読み取れるのか、ということです。
でもって、これにも明確な基準があります。

人間が見分けられる大きさの限度は、視角で定義され、
通常、1'(1分)、すなわち1度の1/60の角度とされます。
これが2つの点が分かれてると明確に見えわけられる限界幅。
これを以下だと「1点に固まって見える」「そもそも何も見えない」となってしまいます。
ただし、後で述べるように、個人の能力差も当然あります。



この識別能力は、目の前の角度で定義されているので
、遠くに行けば行くほどその範囲は広がります。
(つまり識別可能な最小幅は大きくなってゆく)
つまり手前では小さいものでも識別でき、遠く離れたものは、
ある程度の大きさがないと見分けられません。
当たり前といえば、当たり前ですが、この点は注意してください。




みなさんおなじみの広島カープのマーク、
と思わせて、実はランドルト環


視力検査見でかける、ランドルト環はおなじみでしょう。
これを7.5cmの大きさにし、5m離れたところから見ると、
環の切れてる部分の上下幅が、
ちょうど視角1'(1分= 1/60度)になるように設計されています。

その状態で見える、つまり5mからの視角限界が1'の人が視力1なのです。
視角差の限界には個人差があるので、
視力は0.1〜2.0ぐらいまで、かなりの幅でバラつきを持ちます。
視力2の人は倍の解像力、0.5'まで見分けれられるますし、
逆に視力0.5の人は2'までしか見分けられません。

人間の限界視角が1'というのはあくまで、その平均値です。
ただし、網膜が受け取れる光の量にも物理的な限界があるので、
通常、2を超えることは、あまりないはずで、
この辺りが人間の視角分解能力の限界とされるようです。

当然、網膜が受ける光の情報量に結果は左右されますから、
これらは裸眼で周囲が明るい事、が大前提なのも注意です。
どんなに目のいい人でも、昼間は見えた100m先の点が
夜中には見えなくなるわけです。

ここで問題になるのは、通常レンズやプリズムを経由すると、
光の明るさは落ちる、という点です。
なのでレンズを通すとその情報量は落ちてしまい、
識別の困難さは上昇します。
そして先に見たように、測距儀にレンズは必ず付いてくるのです。

大戦期の日本海軍の測距儀は
当時の技術で造られたレンズを積んでおり、これはかなり暗く
そうなると、その視界限度は大きい(悪い)ものになっていたはずなのです。


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