■日本側の攻撃

さて、いよいよ8日の航空攻撃の内容を追いかけて行きます。
まずは日本側から見てゆきましょう。
とりあえず、今回も最初に戦闘海域の地図を再掲載。

両者の攻撃隊はほぼ同時刻に発艦、入れ違う形で敵に向かってるため、
その途中、かなりの至近距離ですれ違う事になりました。
(ただし地図上の赤い航空隊の航跡は推測位置で、実際のものではないので要注意)
もっとも、攻撃に向かう時は雲が多い海域だったのか
お互い相手に気が付かないまま、すれ違ってしまってますが、
その帰還時にはアメリカ側が日本の攻撃隊を発見、これ襲撃してます。
(ただし日本側にはそれらしい記録が無いのだが…)

この辺りは空母艦隊決戦の特徴とも言えて、
逆にミッドウェイ海戦では、飛龍に向かってた
アメリカ攻撃隊を日本の攻撃隊の一部が襲撃することになります。



とりあえず、この日の日本側の攻撃隊の構成を再度確認しておくとこんな感じです。

●瑞鶴

 雷撃隊(艦攻)

8機

 急降下爆撃隊(艦爆)

 14機

 戦闘機隊

9機

 

 計31機

●翔鶴

 雷撃隊(艦攻)

 10機

 急降下爆撃隊(艦爆)

19機

 戦闘機隊

 9機

 

 計38機

合計で69機。
昨日の余計な薄暮攻撃によって艦攻が減ってしまってますが、
それでも空母2隻を沈めるだけなら、なんとか十分な破壊力だったと思われます。
(それ以外の巡洋艦などにまで手を出すのは無理だが)
戦闘機が少ないのは、艦隊防衛用に半数以上を手元に残したからで、
瑞鶴に10機、翔鶴に9機、計19機のゼロ戦が母艦の上空で、
敵の攻撃を迎え撃つ事になってました。

で、何度か書いてるように、日本の攻撃隊は複数の艦からの発進でも、
艦隊上空で編隊を組み、まとまって敵に向かいます。
この編隊を組むのに手間取って、9:50分ぐらいになって、
ようやく艦隊上空を離脱、攻撃に向かった、というのは既に説明済み。
とりあえずその後、1時間も飛べば雲の多い前線地帯を抜け、
好天の海域に入ったと思われます。

その辺りで日本側の攻撃隊は、今回の敵発見の報を極めて正確に打電した
翔鶴の索敵機、菅野機に出会うのですが、
ここで菅野機は母艦までの帰還をやめて反転してしまいます。
攻撃隊を自らが発見したTF17に誘導するためですが、
当然、ずっと敵艦隊に張り付いていた以上、燃料はほとんど残っておらず、
これによって搭乗員3人は母艦への帰還が不可能になってしまいました。

自主的な行動だったようで、英雄的ともいえる自己犠牲ですが、
敵空母は視界の効く晴天下に居た上、途中で攻撃隊に出会った、という事は
攻撃隊側の針路は正確だったわけで、その接触は容易だったはず。
三人もの若者が己の命を捨ててまで、誘導しなくても…
と個人的には思ってしまうところです。

前日のUSSネオショーの索敵失敗がよほど悔しかったのか、と思いますが、
その大失態を演じた本人たちははるか彼方の環礁に不時着、
艦隊の駆逐艦を1隻救助のために呼ぶという、
どんだけ迷惑かければ気が済むのだ、という人たちでした。

そこら辺りと合わせて考えるとなんとも複雑なものがありますね。

とりあえず、日本側の攻撃隊は10:55、
アメリカのTF17に120q程度まで接近した段階で、
レーダーでその存在を発見されてしまうのですが、
アメリカ側の対応のお粗末さに救われた、というのは前回見た通り。

その後、日本の攻撃隊は9:05になって、TF17を視認、攻撃準備に入ります。
こうして、いよいよTF17上空に到達する事になるのでした。


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