■5月5日

ではX-5日、5月5日に入りましょう。
1942年(昭和17年)の端午の節句は、
前日のUSSヨークタウンによる奇襲による混乱が収まり、
日米ともに次の行動に移りつつあった日でした。

とりあえず、今回はまた日本側から見てゆきますよ。



この日、もっともいろいろ動きがあったのが、日本の艦隊護衛部隊、MO主隊でした。

この部隊は前日のUSSヨークタウンの空襲を受けて南下した後、再び北上してます。
これは補給艦と合流して給油するため、ブーゲンビル島の南岸沖にある小さな島、
ショートランド島沿岸に向かってたのでした。

で、どの資料にもそういった記述が見つからないのですが、
これ、おそらく予定より1日遅れの行動じゃないでしょうか。

とりあえず、この日の午前中にはショートランド島に到着するのですが、
その前に艦隊から空母 祥鳳と、その護衛である駆逐艦 漣(さざなみ)を分離してます。
これは、先にも書いたようにポートモレスビー攻略部隊内の陸軍が
航空攻撃を恐れていたところに、実際の空襲があったため、
空母 祥鳳が彼らの精神安定剤として、MO主隊から離れて、その直衛に向かったのです。

この目的のため、、この日の日没まで祥鳳は攻略部隊から見える位置に付いて護衛を続け、
(戦術的な意味はない。単に安心感を与えるためだ)
艦載機を飛ばして攻略部隊の上空援護にあたり、
ポートモレスビーのアメリカ陸軍が飛ばしたらい哨戒機を一機追い払ってます。
(撃墜はしてないらしい)

この辺りは先に書いたように、MO主隊の予定が遅れてたため、
その尻拭いをさせられた、という感じもします。
本来なら、もっとも大食いの空母から補給に入るべきなのですから。

このため祥鳳が補給地点のショートランドに入ったのは深夜、
現地時間の夜1時ごろになってしまい、
翌朝の出発までに完全な補給はできませんでした(7時間程度しか補給時間はなかった)。
よって後日、デボイネで再補給を予定していたのですが、
残念ながら祥鳳はデボイネにたどり着く前にその生涯を終えることになります。

ちなみに最初に断ったように、話を単純化するために存在を無視する事にした
援護部隊、すなわち水上機母艦と軽巡洋艦2隻(天竜、龍田)からなる部隊も
ツラギの手前から基地用の水上機を発進させた後、
このショートランドまで北上していました。
こちらも補給が目的だと思うのですが、詳細は不明。



お次は翔鶴、瑞鶴が居るMO機動部隊の動きを。
この部隊はツラギ南方、前日のアメリカ空母の出現地点に向かっていました。
なので当初の予定通り、大きく東からソロモン諸島を迂回し、
その南側に回り込みます。

結局約1日半、すなわち彼らがラバウルへのゼロ戦空輸で
無駄にしたのとほぼ等しい時間の遅れをもって、
この日の夜、ようやくガダルカナル島南方の海域に入りました。
この日の深夜、前日の朝にUSSヨークタウンが居たその場所に彼らは到着してます。

この間、一度だけ索敵機を飛ばしてますが、当然、USSヨークタウンは
とっくに南の海域にトンズラ済み、全く消息がつかめずに終わります。
ちなみに、この日、MO機動部隊が飛ばした索敵機は、
まだソロモンの北側にいた時、朝のうちに送り出した一回だけでした。

ついでに、この時の索敵は翔鶴、瑞鶴の両空母からだけではなく、
羽黒、妙高の重巡からも索敵機を飛ばしました。
当然、こちらはゲタ履きの水上機なんですが、これの回収時に
強風で機体が破損、以後、両艦の水偵は使えなくなってしまうことに。
このため、その後は常に空母からの索敵のみとなります。

まあ、この日はどう考えても追いつけっこない、という事で理解できるのですが、
この連中、この翌日も同じように索敵機を飛ばさず、
再び、大チャンスを逃す事になるのです。

とりあえず敵空母追撃を諦めたMO機動部隊は
次の補給予定地点だったツラギ西方海域に向かうことにします。
先に見たように、4日の朝は補給途中で艦隊が出動してしまったため、
その補給はまだ終わってなかったのです。

ちなみに私のような素人が見ると、ソロモン諸島を東から大回りなんかしないで、
ガダルカナ島周辺の海峡を通過して南下すれば
よほど早く目的海域に着けたように思うのですが、
なんで大回りしたのか、キチンと説明してる資料が見つかりませんでした。

可能性としては、

●身動きの取れない狭い海峡を通過中に敵から襲われるのを恐れた

●速度の遅い補給用の給油艦をそのルートで南下させ、
自分たちは敵の有無を確認する意味も含めて時間のかかる東から回った

●とにかく、みんなお馬鹿さんだったアルヨ

といったあたりだと思うんですが、正解は不明。

で、対するアメリカ側は、5日は再び補給に時間を費やすことになります。
この日の朝に、ガダルカナル島から約600km南の珊瑚海上でTF17のUSSヨークタウンと
TF11のUSSレキシントン、そして例のアメリカ+オーストラリアの巡洋艦と駆逐艦からなる
TF44が全てが無事合流(TF11とTF44は先に合流済みだった)、
ここに珊瑚海海戦に臨むアメリカ海軍の全戦力がまとまったのでした。
(後で分離するのだけども)

これらはまとめて第17機動部隊(TF17)に統合される事になり、
午前中から、こちらも再び補給に入って、残りの時間は補給で費やされて終わります。

とりあえず、以上が5日の主な動きですね。


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