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■原点回帰2025 ![]() さて、年に一度の原点回帰大作戦、すなわち本来このサイトは管理人が絵を描いて展示するために始めたんだよ、という主旨に還る連載が今年もやって参りました。毎度毎度、誰に頼まれたわけでも無いんですがね。 今年は「絵の描き方」の論理的な追及をやって見たいと思います。 ただし昨年の連載で述べたように、絵の描き方ってのは本来、人に教えられる物ではなく、そもそも才能が無い人がどれだけ訓練をしても限度があります。才能が10ある人が練習でその能力を1.5倍に成長させれば15となりますが、5の人はどうやっても7.5以上には成りませんし、0の人は未来永劫0のままです。野球の猛練習をしてもプロになれる人間なんて一万人に一人も居ないし、大リーグに行ってホームラン王に成っちゃう人なんて千万人に一人以下なのです。そしてその差は純粋に産まれ持った才能によります。練習で乗り越えられる限界は皆で大差なく、そこから先は才能の問題になってしまうのです。 この点は絵を描く事も全く同じとなります。よって今回私が示すのは基本的な原理であって、そこから先どうなるかは「自分もやってみるか」と思った皆さんのやる気と才能次第、となります。この記事を読んだらビックリするほど絵が描けるようになった、ありがとう夕撃旅団、といった事にはまず成りませぬ。この点はご了承くださいませ。ついにで自分の才能を超える限界を示す事も出来ないので、あくまで「筆者程度の画力」で可能な限界点までの話となります。ホンモノの天才なら軽く超えて行ける線なので、そういった人にはあまり役に立たない話でしょう。この辺りもご了承ください。 ■絵とは何か さて、まずは「絵を描くとはどういう事か」という基本中の基本から確認しておきます。この点をキチンと説明している「絵の描き方教室&講座」を私は見たこと無いし、私がこれまで受けて来た「教育」でも聞いたこと無いので、ここから説明しないとだろうなあ、と思うからです。 まず当たり前ですが絵は平面、二次元の構造です。三次元、立体なら彫刻、彫像、模型製作、デジタル3D構造体制作、ですからね。それらを二次元平面に写し取るのが「絵」だと思ってください。まあ厳密には現実空間は時間軸を含む四次元ですが、時間は絵で再現できないのでここでは考察対象から除きます。ただし動画、アニメーション等は時間軸の再現性を持つ二次元表現ですから「空間軸を持たず時間軸を持つ三次元」となります。実際、アニメーションの技術には対象の動きを極小時間の単位で分解する能力、その動きを時間微分する能力が要求されます(なのでアニメーションを二次元表現とするのは力学的には正しくない)。これは絵を描く能力とは完全に別物です。どれだけ絵が上手くても、この点の才能が無いとショボい動画しか描けません。 ただしこの記事の目的はそういった力学的な定義の追求では無いし、アニメーションに関する才能は筆者に皆無なのでこれ以上深入りはしません。瞬間を切り取った二次元表現を「絵」とし、それだけを対象に展開してゆきまする。 ■絵の描き方 「転写」と「描写」 では実際の絵の描き方の説明に入って行きましょう。 まず絵の描き方は大きく二つの手法に分かれます。「転写」と「描写」です。この辺りの違いをキチンと考察している話を見たことがありませんが、この大原則を理解しないと、どうしようも無いので最初に確認しておきます。 簡単に言ってしまえば対象を直接見て絵に写し取るのが「転写」、対して対象を立体的、さらには空間的に自分の頭の中に取り込んでしまい、直接見ることなくこれを絵にしてゆくのが「描写」です。主に学校の「美術」で習うのが前者、アニメや漫画など、現実に存在しないロボットや頭蓋骨の構造を超越した美形の人物が登場する場合に用いられれるの後者だと思ってください。ただし両者は完全に分離した手法ではなく、必要に合わせてそれぞれの手法を組み合わせて描く事になります(少なくとも筆者はそうだ)。 この点、まともに解説している例が皆無なので(少なくとも日本語圏では)、以後の各種用語は筆者が考えたものであり、恐らく誰も聞いた事が無い用語が多く使われます。この点もご容赦くださいませ。私の後に道が出来る世界なのです。 では次のページからいよいよ夕撃旅団式絵の描き方の具体的な説明に入りましょう。 |