さて、メモ書き代わりの元絵を描いたら、それを踏まえて、いよいよ作画に入ります。 今回は乗り物内の閉鎖空間で、直線の嵐となるため、下絵は描きません。 どうするの、というと図形を組み合わせて、それっぽい形を造って舞台となる空間を組み立てて行くのです。 何だこりゃ、という感じですが、これが作業開始状態です。ね、線で描いて無いでしょ。 私が使ってる10年前に販売終了となった画像ソフト、台湾製のPhoto impactには 円形や四角形、三角形を作り出し、自由に変形、移動できる機能があり、それを利用したモノです。 仕事で使わなくなったため、記憶が曖昧ですが、確かPhotoshopでも似たような事ができたはず。 この段階では色は適当で、見分けやすい色にしてあるだけです。後で塗り潰してしまえばいいだけですので。 そこから図形を縮小拡大する、変形する、傾ける、重ねるといった作業によって舞台となる列車内部の空間を形成してゆきます。 この段階でも見て分かるようにパースも消失点も無く、自分の感覚だけで組み立てております。 ちなみに私の経験からすると、こういった閉鎖空間を造る場合、床か天井の形状と向きから決めてしまわないと破綻しやすいです。 今回は造ってるうちに真正面から僅かに左、上から見たところが一番カッコいいと判断したので、早くも元絵から脱線しつつあります(笑)。 図形の部品は平面だけでなく、枠線でも造れるので、それらをフルに活用して、空間を作って行きます。 この辺りは作画というより模型の制作に近い感覚ですね。 繰り返しますが、消失点もパースも手書きの線も全く無いまま「絵を描いてる」のを見て置いてください。 ちなみに今回は正確な空間描写が最優先と判断したので、 人物は舞台が完成してから、そこに合わせて描くことにし、この段階では全く何もしてません。 大分形になって来ました。この段階までに微妙に歪んだりズレてると感じた部分は修正してしまいます。 ちなみに関西旅行で撮影して来た阪堺電車の車内を参考に造ってたのですが、メンドクサイ部分なんかは全部無視してます。 図録のような正確な記録を造ってるわけではない以上、そこまで正確さは求めないようにしてます。というかメンドクサイですし(ホンネ)。 影になってる部分はその部分にのみ、乗算レイヤーで灰色の部品を乗せてます。即ちこれも図形部品による作業の一種です。 なんとなく漠然として散漫な構図だったので、真ん中に吊り広告を入れて、舞台空間の基本的な作画は終了とします。 この段階で、椅子などのテカリや影の部分を手描きで描き込みます。 当然、これは色を塗ってるだけですので、線は一切描かないまま完成なのです。 これが「私は線で絵が描け無い」という事ですね。 ちなみにどこまで図形で作業し、どこから手描きにするかはカンと経験によって判断しながら作業してます。 ここまで来たら、人物も入れ無いと絵としてまとまりが取れなくなるので、そちらの作業も。 さすがにこれは手描きで、半透明の部品にこの空間に破綻なく入り込める構図で人物を描きます。 ここまででほぼ休日作業一日分、約6時間前後かかってます。 そろそろ疲れて来るし、一度時間を開けないと良し悪しを客観的に判断できないので、初日の作業はここで打ち切りとしました。 |