でもって人物の絵は単体である程度仕上げてしまいます。

人物を別作業にするのは何か秘伝の奥義があるからではなく、
Photoimpact、古いソフトなのに意外に処理が重いので、少しでもPCへの負荷を減らすためです。
ここで左の極めて適当な線画に色を塗りながら細かい部分を描き込み、かつ不要な線を消して完成させています。
故に私は線画で絵が描けない、という事です。
実際、紙以外に絵を描くの禁止、という法律ができたら、私はまともな絵は描けなくなります。

が、21世紀にもなって、紙に描いてた時代の手法で作業しても意味ないじゃん、と思っているのもまた事実です。

ついでに繰り返すなら、空間把握、立体把握の能力は8割が生まれ持った才能ですので、
山に籠って修行しようが、デッサンの市民講座に通おうが、美大を出てようが完全に無関係です。
できない人には永遠にできません。諦めてください。
その代わり、私は一切音楽的な才能が無いし、運動系もお粗末に近いのに対し、
そちら方面の才能に恵まれた人は数多くいます。
そういった自分の持ってる才能を延ばすことを考えたほうが建設的でしょう。

野球部に入って毎日練習すれば一定レベルまでは上達しますが、
残念ながら、誰もがプロ野球選手と同じレベルの身体能力が身に付くわけではないのです。
その先は生れもっての才能だけの問題になってしまい、純粋に遺伝学的な問題ですから、
とやかく言っても致し方ないと思ってください。

ついでに個人的にちょっと気になるのは、楽器ができる、という人は実際、楽器ができますし、
脚が速い、という人は実際、脚が速いのですが、私は絵が描けます、という人の多くが、
「あなたはこれを絵と呼びますか」というレベルなのは何ででしょうね。
私の経験だと、自称絵が描ける人の9割はそれは絵ではない、というレベルでした。
この辺りは完全に謎でございます。



さて、では舞台空間も仕上げに入ります。人物がまだ入って無いのも先と同じ理由で、少しでも処理の負荷を減らすためです。
こうやって全体を暗いレイヤーで覆ってから、明るい部分を削りだして行く作業は以前の原点回帰犬作戦で説明したので、今回は省略。



光の当たってる部分を削りだし、人物とその影を合成してとりあえず完成です。
人物の向きが逆なのはデッサンの歪みを確認するためにあえて反対に描いたから…とか深い理由はなく、
調整して見たら、この反転状態の方がカッコよかったからです。



が、ちょっと殺風景なので、車内に木の葉を吹き飛ばす事にします。なんで木の葉なのというと私はそれがカッコいいと思ったからです。
閉鎖空間である列車の車内に木の葉なんてオカシイ、と思うか、
気持ちいい絵になるならなんでもありか、は個人の価値観の自由ですが、私は後者の立場です。

ちなみに自分で作った空間なので、木の葉だけを独立して描いても破綻は生じません。よってさっさと描いてしまう。
これもまた空間把握能力の一つですね。



で、それを切り抜き合成した、これが完成形。
あれ、木の葉が増えてると気がついたあなた、下手に勘がいいと長生きできないよ、とアドバイスして置きましょう。
これはコピーした部品を拡大縮小して貼りこむというズルをしてるからで、これまたPCによるデジタルお絵かきの利点なのでした。

ついでに、どれだけの人が気が付いてるか微妙ですが、最後に僅かに全体の色の彩度を落としてます。この辺りはほぼ自己満足、という部分ですが。

はい、という感じでこれが線も消失点もパースも使わない絵の描き方でした。
とりあえず、今年の原点回帰はここまで。

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