■民の間にある機体たち



ここで二機目の飛行機が飛んでゆく。

今回もエンジンが二つ。
よくわかりませんが、色彩が派手なので、
オスの飛行機なんじゃないでしょうか。



ムーニー (Mooney) M20M TLS。
ムーニーってのは、よう知らん会社で、月明かりの?と思ったら、
これも綴りが微妙に違って(e が多い)、どうも人名らしいです。
でもって、調べてみたら、三菱の小型機、MU2(後で登場)を
最初にアメリカで売ってたのはこの会社だったそうな。
ただし、後に経営不振になってしまい、結局、三菱重工が
自分で販売までやる事になったらしいですが。

よく見ると、脚は固定ではなく、収容可能で、360km/hと、
単発機にしてはそれなりに高速な機体のようですね。

1992年から2004年までしか使われてない、との事で、
なんか欠陥でもあったんでしょうか。
垂直尾翼が前に傾いてるので、きっと空中で急ブレーキを踏んだ時に
前のめりになり、それが元に戻らなくなってしまったのだと思います。




これもセスナの411。
中日新聞社で使われてた機体だそうな。
セスナでも、双発は主翼は胴体下なのでした。

1969年から1990年まで現役だった機体で、
1969年の購入時には7000万円ほどだとか。
…当時なら名古屋の町に小さなビルの一つくらい建てれた金額でしょうから、
またずいぶんと良いお値段です。



YS-11と並んで、ここの屋外展示の主であろう、と個人的に認定してる機体、
旧ソ連製ヘリコプター、カモフ Ka-26。
上のローターが上下に二段になってるの、わかるでしょうか。
この機体は二重反転プロペラを搭載しています。

これは同じローターを、同じ速度で反対方向に回すことで、
両者の回転力(トルク)を打ち消すのが目的の構造です。

通常のヘリコプターは、ローター回転の反作用を打ち消すために、
尾翼の先にテールローターと呼ばれる小さなプロペラを付けて、
ローターの回転とは反対方向に機体を回転させる力を発生させてます。
これで機体を抑え付け、空中でグルグル回ってしまうのを防いでるわけです。

それに対して、二重反転プロペラのヘリコプターは、
二つのローターを逆回転させることで、力を打ち消しあって平衡を保ってます。

ちなにみに、それそぞれのローターは別のエンジンで駆動されてるんですが、
機体横に付けられた、ジェットエンジンポッドみたいなものがそれ。
ただしこれ、ジェットエンジンなどではなく、
純粋にレシプロ(ピストン)エンジンで9気等、一列配列の
星型空冷エンジン(笑)が左右で計ニ発搭載されてます。

まあ空冷双発エンジン二重反転ヘリコプター、という、
かなり珍しいのではないか、という機体なのでした。
エンジンの前には、ソ連機らしいシャッターのような構造があり、
この展示機ではそれが完全に閉じられてる上に、
ペンキまで塗られてしまっています(笑)。




後ろから。
4本脚、というのも変わってますが、後部の脚の構造もえらく面倒なものに。
どうもこの機体、胴体後部は、この人員運送用のもののほかに、
空きスペースになってる荷物運搬用の機体もあったようで、
そのためにこんな構造になってるようです。

で、先に書いたように、このヘリコプターの後部にローターはなく、
こういった双尾翼がついてるわけです。
で、この水平尾翼、後半が動いて舵となってます。
ついでにこの写真では判り難いですがその間に水平尾翼も付いていて、
こちらも後半は昇降舵(エレベータ)になってます。
これで機体の進行方向の制御とかもやってたんでしょうかね。
ローターから、強烈な吹き降ろしの風が来る
ヘリコプターでそれが可能なのか、私にはちょっとよくわかりませんが…。

ついでに、エンジンポッドの後部は完全に塞がれており、
これ、冷却とかを考えると、不利なような気がするんですが、
何かメリットがあるんでしょうかね…。

この機体、個人輸入で日本に持ち込んだらしいのですが、1983年から88年まで、
5年間だけ使っておしまいになったようです。

そもそもこの機体、1970年代に製造中止になってますから、
日本に入って来た段階で中古だったはず。
ちなみにお値段は1983年当時で4000万円。
…エラク高い買い物のような…



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