■無人機の園

というわけで、本博物館のメインイベント(私認定)である
第二次大戦の部屋の見学を終了、次の部屋の見学に移ります。



でもって、今回の見学ルートは、こんな感じ。
…2階の隅っこをウロウロするだけで、相変わらず、ほとんど進んでません…。
が、前回、今回が、情報密度的には最強の部分の見学になってますので、
今後はもっとペースアップする…はず…。



さて、とりあえず第二次大戦機の部屋を出て、向こう側、
なんだか空母の艦橋みたいな演出がされている、
海軍航空機の部屋に向いましょう。

ちなみに向こうに見えてる数字、アメリカで76番目の空母は
CVN-76のロナルド・レーガンですが、
この博物館が出来た1976年の段階だと、
CVN-70のカールビンソン辺りまでしかまだ計画が無かったはず。
もしかして1976年開館だから76?

で、前回来た時は、ここと向こうの間には、
巨大空母模型があったんですが、それが無くなっていました。

ただし、その代わりに…



Unmanned Aerial Vehicles (UAV)、
無人航空機の展示コーナーが造られていました。
結構すごいもので、2008年に見た時のアメリカ空軍博物館並の
質と量のコレクションを持ってます。

まずは、無人機といえばこれ、という感じのMQ-1L プレデター。
ちなみに今回初めて知ったのですが、これの製造メーカーは
General Atomics Aeronautical Systems、総合原子力航空技術システムという
スゴイ名前で、航空で原子力って何?と思ったんですが、
基本的には無人機の開発を専門にやってる会社らしいです。

この機体は1995年から実戦配備が始まった、古参の無人軍用機で、
ある意味、もはやおなじみの機体でもあります。
垂直尾翼が胴体下にあり、水平尾翼もやけに下向きについてる、
という不思議な構造の機体ですね。
この構造、何を狙ったものなのか正直想像がつきません。

MQ-1Lは本来は偵察機だったんですが、
自衛用、攻撃用含めて武装も可能になってます。
ついでに空軍の管轄だと思ってたら、開発予算、CIAも出してるんですね。
となると、U-2、SR-71といった
黒い偵察機の後継者がこの機体、という考え方もできます。

オモチャみたいな機体だな、と毎回思うんですが、
これでも1機400万ドル以上、4億円もするんだとか。
たとえ人が居なくなっても、戦争はお金がかかるようです。



なんだか変なスタイルの機体ですが、
これは本格的なステルス機でもある無人機、RQ-3A ダークスター。
ロッキードマーティン社とボーイング社の共同開発機です。

よくもまあこんな形状の機体が空を飛ぶもんだと思いますが、
コンピュータ制御のフライ バイ ワイアだと、
なんとかなっちゃうんでしょうね。

夜間も含めて、完全全天候形の無人偵察機として開発された機体だとか。
この横長でアスペクト比(主翼の縦横比)の高い、長距離飛行向けの
主翼から想像されるように、敵地奥深くに侵入して
偵察を行なう、という機体です。
なので、長時間、敵に見つからずに行動するため、
ステルス機として尾翼の無い、薄っぺらいスタイルで設計されました。
(索敵レーダー波の大半は横方向から来るからその対策)

ちなみに、そんだけ遠くに行ってしまうと、
発進した基地から見ると地平線の彼方へ消えてしまうため、
直進する電波ではもう届かず、無線操縦はもちろん、
偵察した画像も送れなくなってしまいます。
このため、通信衛星を使った大規模なデータのやり取りが
可能なシステムとなってるとか。
(ただし上のプレデターでも通信衛星を使用する事はできる)

この機体は1996年に初飛行したものの、いきなり事故ってしまったり、
予算の縮小があったりで、1999年に計画はキャンセルされてしまったのでした。
ここに展示されているのは最後に作られて一度も飛ばなかった機体らしいです。

ちなみに試作機は3機以上造られたようで、
空軍博物館にもありましたね、これ。



こちらは庶民的なサイズのAAI社RQ-7A シャドウ200。
主に陸軍や海兵隊の前線部隊が使用してます。

速度なんか知るか、という揚力重視の分厚くて、
豪快に膨らんだ主翼の断面、脚そのものがバネとなっている構造など、
これなら夏休みの自由研究でもなんとかなってしまいそうな気もしますが(笑)
1機75万ドル、約7300万円するそうで、
都内の一戸建て住宅並みのお値段となっています。
兵器は見かけじゃないですね(笑)。

しかし無人機の開発メーカー、聞いたことのない会社ばかり。
軍上層部の新しい天下り先なんでしょうが…。

ついでにこの機体、尾翼が水平、垂直を兼ねた
「へ」の字型、という変わったものになってます。

全長で3.4mと比較的小型なのは、あくまで前線司令部の目として、
周囲の探索を行なうのが目的の機体のためらしいです。
(小型の場合燃料が積めないから航続距離も短い)
分厚い主翼は、低速でゆっくり周囲を観察するためかもしれません。

ちなみに開発理念として、
戦場を素早く見て、素早く理解して、素早く行動する優位を確保する、
(See first, understand first, and act first — decisively)
というのがあげられてましたが、これってOODAループの思想でしょう。

2002年から部隊配備が始まってるそうですが、
総生産数は100機前後と意外に少ない気も。
陸軍と海兵隊、さらに海外売却分を含む数ですから、
連隊単位で1部隊、もしかすると師団単位での運用ですかね。
普通に考えて予備機を入れて2〜3機で一つの部隊を作るでしょうし。

展示の機体は2005年までイラクで使用されていたもので、
飛行時間500時間で、計124回の任務飛行を行なった機体だそうです。



こちらもやや大物、ステルス無人機のボーイングX-45A。
これまた空軍博物館にもあった試験機です。

最初から無人攻撃機として計画されたステルス機で、
機体の中には爆弾庫もあり、爆撃試験までは成功しています。
2002年に初飛行した後、試験を続けていたようですが、
最終的に空軍は無人攻撃機計画を破棄、
海軍はノースロップのX-47の採用を決定、
この機体の開発はキャンセルとなってしまうのでした。


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