■館内突入

さて、アメリカの博物館、美術館の多くでは入り口で荷物チェックがあり、
カバンの中などを確認される事が多いのですが、
ここは中でも厳重になっています。
空港のようにバッグと身に着けた金属類をトレーに入れて検査機に通し、
その横で本人は金属探知機を通る必要があります。

ワシントンD.C.周辺の博物館、美術館でも、
ここまで厳重なチェックをやるのはここだけでしたから、
なんか理由があるのか、機材を買っちゃったから後に引けなくなったのか…。



というわけで、無事侵入に成功。
入ってしまえばこっちのもんだ(笑)。

で、正面入り口から入って最初にあるのが案内所と、
その上からぶら下げ展示されているボイジャー(Voyager)号となります。

無着陸、無給油による世界一周飛行に
初めて成功した機体で、1986年の12月14日に
カリフォルニアのエドワーズ空軍基地から飛び立ち、
9日間かけて無着陸世界一周をやってのけます。

なんか変な機体だなあ、という感じですが、こちらが前で、
よく見ると奥の方、左右のブーム(筒状部)の最後部に垂直尾翼があります。
胴体の前後にエンジンを積み、水平尾翼は機体前部に、
左右のブームを支える形でついている、という変わった構造です。

さらに低燃費長距離飛行のため、極めてアスペクト比の高い、
横長の主翼になっています。
なのでこの展示、もらったはいいけど、飾る場所がないぜ、
という感じでして(笑)、なんとか玄関ホールに押し込んだ、
という印象があります。

展示説明によると離陸時の総重量は4.4t、
やや重いような感じがしますが、そのほとんどが燃料で、
燃料、オイル、乗員(2名)を除いた本体重量は1.02tしかありません。
それでもカリフォルニアに帰ってきた時、
燃料の残りはほとんどゼロだったとか。

で、先に書いたように機体の前後にエンジンがあるのですが、
基本的には離陸上昇時以外は、燃料節約のため、
前部エンジンを切る、という設計になってるようです。
ただし離陸に2機のエンジンを使っても、やや出力不足だったようで、
世界最長クラスの4580mの滑走路を持つエドワーズ基地からでも、
残り200m前後という、かなりギリギリの状態でようやく浮いたとされます。

ちなみに、ボイジャーによる無着陸、無給油 世界一周9日間+3分の記録は
後の2005年に別の機体で、大幅に短縮更新されるのですが、
その機体は後ほど、ウドヴァー・ハジーセンターで登場します。



入り口に奥にあるホール。
こういった吹き抜けのホールが3つあり、この中央部のものは、
その中でももっとも地味です(笑)。

まあ、それでも歴史的な機体だらけなんですけどね。
が、とりあえず今は後回し。
天井からぶら下がってる機体なら、どんなに人が増えても
撮影の支障にはならないから、急ぐ必要がないのです。



一度来ている博物館ですから、構造は完全に頭に入ってます。
入り口をすぐ左に曲がって直進、奥の突き当たりにある階段を登ります。



すると2階のここに出るのです。
なんだか地味な入り口ですが、ここがこの博物館の心臓部(私認定)、
第二次大戦機の部屋なんですぜ、ダンナ。

さあ、突入だ。


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