■2階へ進むのだ



さて前回までで“現在公開されてる”1階部分は見学終了。
今回は2階を攻略します。
ここは元々、展示エリアが少ない(灰色の部分は非公開地区)ので、
一気に片付けてしまいましょう。
今回は4から5(ただし写真なし)、2(こちらも写真なし)、1、3の順に回ります。

ちなみにモール側からの入り口があるのが、この階になります。

でもって、この2階部分の西側の公開は、3年先の2016年になってました。
…普通に考えて、既に完成してる建物の展示の入れ替えに
3年もかかるとは考えにくいので、
なんらかの嫌がらせと考えるべきなんでしょね、これ。



最初はリトル ゴールデン ブックスの絵画技法なる展示。
右の絵からすると子供向けの出版物でしょうか。



リトル ゴールデンブックは1942年に創立された子供向けの出版社だそうな。

終戦後、当時はまだ高価で一般向けとは言いがたかった、
児童向けのイラスト入り書籍を25セントで売り出し、
さらには例のドラッグストアなどに専用の棚を設置、
カラフルな表紙で子供たちを引き付けたのだとか。
ローン レンジャーなど、TVの人気番組の絵本化もやっていたようで、
1970年代くらいまでの子供にはとてもなじみ深いものだったようです。

いくかの絵本の原画が展示されていたのですが、
どれもこれも見事で、アメリカ人絵が上手いなあ、と思ったり。



その先には、アメリカの街によくあったタイプのレストランのカウンターが。
なんだこれ、と思ったら1960年代の
公民権運動(African-American Civil Rights Movement)、
すなわち黒人の差別撤廃運動で、象徴的な事件がおきたカウンターなのでした。

1960年2月1日に、黒人差別が根強かった南部の州のひとつ、ノースカロライナ州の
グリーンズボロで、白人専用とされていたこのカウンター席に、
4人の黒人学生が着席、食事を拒否された事に抗議して、
出て行くように言われながらも、ここに居座ります。
これがグリーンボロの座り込み(The greenboro sit-ins)と呼ばれる
黒人差別への抗議行動となり、
話を聞いた他の学生が次々と交代で座り込みを続け、
以後半年ちかく、店側が黒人の食事を許すまでその抗議の座り込みは続きました。
その座り込みが行なわれた4つの座席をここに移設したのが展示のものです。

こういった抗議活動は、これが最初ではなかったようですが、
このグリーンズボロの場合、TVの報道によって座り込み活動が各地に伝播、
非暴力の差別撤廃運動として、大きな流れとなったみたいです。
これらの動きがアメリカにおける黒人差別を認めないとした、
1964年の公民権法の制定に繋がって行く事になります。
この1960年代における黒人の人権確立までの過程は、
ヴェトナム戦争と相乗効果を成してアメリカを揺さぶる事になるわけです。

ここら辺りの南部における黒人差別は、
アメリカの醜い部分が凝縮した感じがあり、
太平洋岸でカリフォルニアばかり見てる(笑)日本人から見ると、
これがアメリカなのか、と思ってしまう部分です。

ちなみに公民権法の制定においては、あの史上最強スカタン大統領、
ジョンソンが意外に活躍しています。
これは彼が行なった中で、唯一、評価できる行動かもしれません。
(ただし大筋の流れは暗殺前のケネディが作ってる)



で、その横にあるのが、変わるアメリカ、の展示。
これは黒人(アフリカ系アメリカ人)の歴史を展示した部屋なのですが、
写真を撮るにはあまりに照明が暗い上に、
パネルでの展示がほとんどだったので、
ここでは紹介を割愛させてもらいます。


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