■車でアメリカン



さて、今回は移動するアメリカ 自動車編です。
現代アメリカにおいて現実的な移動手段は飛行機と自動車ですから、
ある意味、ここのメインの展示でもあります。



まずは前回チラッと触れた初のアメリカ横断自動車旅行のジオラマ展示。
この博物館の中でも、この自動車コーナーは、こういった等身大彫像による
ジオラマ展示が多くなっております。

ちなみに製作者によるとワイオミング州のどこかの風景という事ですが、
別にワイオミング州に限らず、とりあえず西部のどこかでいいんじゃないか、という気も…。

自動車が本格的に製造され始めたばかりで、まだまともな横断道路はない時代、
(西部劇を見ても馬車隊は普通に道無き荒野を移動してる)
果たして車で大陸横断は可能なのか、というのが一つの話題となっていたようで、
1903年には3つの隊が自動車による初のアメリカ横断に挑戦していました。
ちなみに1903年は明治36年、日本じゃ日露戦争の前年であり、
森鴎外も夏目漱石もまだ必要以上に元気に生きてた時代です。

最終的に医師だったジャクソン(H.Nelson Jackson)と整備士とクロッカー(Sewall Crocker)、
さらには犬のバド(笑)の二人と一匹が63日かけて
(ただしバドは途中のアイダホで購入されてそこから参加)
西海岸のオークランド(高橋是清の悪夢、サンフランシスコの対岸の街)から
東海岸のニューヨークまで横断に成功し、大陸横断一番乗りを果たすのです。

展示の自動車は、その時に実際使われたウィントン(Winton)ツーリングカー。
ウィントンとはあまり聞かない名前ですが、1920年代まであったメーカーで、
後にゼネラルモーターズ(GM)に吸収されてるみたいですね。

でもって、1903年だとまだヘンリー・フォード暴走前ですから(笑)、
自動車はジャクソンのような医者とかお金持ちの道楽、という部分がありました。
ちなみに、この大陸横断には、ツーリングカーの購入費を含めて
8000ドルかかったとされています。
(ちなみに途中で買った犬のバドの価格 15ドルを含むらしい)

1903年だと、まだアメリカの消費者物価指数(CPI)データがないのですが、
最初に集計された1913年の消費者物価指数(CPI)で計算しても
ざっと19万ドル、大筋で2000万円近くかかっていた事になります。
現在の感覚だとポルシェを買って南極横断、みたいなものでしょうか。

余談ですが、例のリンドバーグの
スピリット オブ セントルイスの買値が1927年で10580ドル。
これを消費者物価指数で計算すると、2014年で14万2760ドル、
ざっと1500万円ですから、おそらく燃料費などを考えても、
実はリンドバーグの大西洋横断のほうが安くあがっています(笑)。

こうして見ると、当時の自動車がどんなものだったかわかるかと。



ちなみに、犬のバド、現夕撃旅団アドヴェンチャー サムは、
当時でも人気だったようで、ウィントン社が自社の宣伝のために発行した、
この時の旅行記、自動車時代の表紙になってます。

右はそのバドが使用していたゴーグル。
…これ、犬としてはいい迷惑だったんじゃないかなあ、という気もしますが、
砂漠の埃がすごくて、どうしても必要なものだったとのこと。

ついでに、このバドはアメリカ史博物館のマスコットにもなってるようで、
子供向け解説板にゴーグルつけた彼が登場していました。



その先はフォードT型デビュー後、アメリカの自動車社会化が
一気に進みつつあった頃のさまざまな展示。


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