■自動車社会への道



1930年代に使われていたパーキングメーター。

アメリカでは1935年にオクラホマシティーで最初に採用され、
すぐにアメリカ中に普及していったそうですが、
1930年代後半には、すでにパーキングメーターが必要なくらい、
都市部に自動車があったということで、やはり日本とは世界が違いますね。



こちらはガソリンのポンプとの事でしたが、スタンドで使っていたものでしょうか。
左下は1930年代まで存在したさまざまな自動車メーカーのエンブレムコレクション。
正面からの撮影に失敗してしまったので、写真はこれでガマンしてください…。



こちらは1920年代の自動車整備工場で使われていた機材らしいです。
車体を台に固定してこれを傾けることで整備を容易にしたものだとか。

当時の自動車では各種故障は標準装備であり(笑)、
さらに頻繁な整備が必須でしたから、
都市部では整備工場が大繁盛だったそうな。
1920年代ですでに全米に6万店の整備工場があったと見られるとか。

その上に乗ってる車はフォードT型のロードスター。
大量生産による大衆車であるフォードT型はその安価な価格で
1908年から1927年まで、1500万台を売ったとされ、
20世紀のアメリカ社会を産み出した工業製品とも言えます。

が、単に安価な大衆車と言うわけではなく、
実はごく初期から若者向けといえる2人乗りのスポーツタイプ、
ロードスターを製造してたりもするのでした。
展示されてるのは最終生産型、1926年製のフォードT型 ロードスターです。

ついでながら、このT型ロードスターは、
1930年代に入ると安価な若者向け中古車となって、
いわゆる“ホットロッド”車の改造ベースとして人気が出て、
片っ端から派手な改造をされるハメに…。
逆に言えば、現存するフォードT型 ロードスターで、
こういった原型を保ってるのは意外に貴重です。

ちなみにロードスターの綴りはRoadster で、星の“Star”ではないのに注意。
〜な人、という意味の名詞語尾による造語なのです。
なのでギャングスター(gangster)でヤクザモノという意味なるのと同じ使い方で、
道の人、という意味になります。



こちらはやや変り種のエンジン関係。

手前左は1910年製のホワイト社の蒸気自動車エンジン。
蒸気エンジンというと、20世紀初頭の農業用トラクターの印象が強いですが、
1910年ごろは蒸気機関の自動車はそれなりにあったそうで、
これはそういったものの一つだとか。
意外にコンパクトで、実際、当時の蒸気自動車の写真を見ると、
外観だけなら普通の自動車と区別がつきません。

右側は1921年製の電気自動車用モーター。
1920年代ごろ、アメリカではいくつかの電気自動車が作られたらしいのですが、
当時のバッテリーでは極めて短い距離しか走れず、
ほとんど普及しないで終わったとの事。

ちなみに電気モーターだと騒音も排気ガスもない、
というのが注目されがちですが、じつはミッション、変速機がいらない、
という大きな特徴がありました。
(ただし現代のように高速が要求されるならあったほうがいい)
これによって車体の大幅な軽量化、
さらには低コスト化が可能になります。

この点に注目したのがドイツのステキ博士ことポルシェ閣下で、
彼は大戦中に電気戦車を試作、ヒットラーに売り込むの成功してます。
これがいわゆる旧ティーガー、ポルシェ ティーガー戦車ですね。
ただし結局、バッテリーの問題はいかんともしがたく、
最終的に発電用エンジンを一緒に積み込んでしまったため、
重量メリットは消えてなくなってしまったどころか、
かえって重くなってしまった面があります。

それでも大重量の戦車を動かす変速機は難題だったので、
これを省けるメリットはあったのですが、
結局モノにならず、宮崎駿さんにマンガのネタにされて終わります(笑)。

まあ後にUボートに詰まれる事になるヴァルター機関で
発電しようとか言い出さなかっただけマシでしょうか。
(私が知らないだけで考えてた可能性はあると思うが…)

で、一番奥は通常の内燃機関なんですが、
展示のものはトラック用とだけ書かれていたほか、詳細は不明。
電気式スターターと発電機が付いた初期のタイプらしいのですが、
それ以外にも何か妙な部分があるエンジンなんですが…。


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