■次はアーグラ城へ



さて、お次はアーグラ城へ。
この写真はアーグラの街で外を歩いてる牛を撮影しようとして失敗したものなんですが、
図らずもインド式自動車の運転席の記録になっていたので掲載。

タイあたりでも似たような感じでしたが、お守り、数珠、などが満載で、
さらにインドの国旗まで飾ってありました。

注目はその国旗の右下で、これ、サイ・ババさんの肖像らしいです。
え?サイ・ババってあのへんな髪型で2011年に死んだ宗教家?と思ったら先代サイ・ババなんだそうな。

帰国後調べて見たら、サイ・ババというのはそもそも20世紀初頭に活躍した宗教家で、
我々が良く知るサイ・ババはその生まれ変わりを自称してたのだとか。
でもって、その先代サイ・ババはインドのイスラム教徒の中では聖人とされており、
こういった感じに祀られてる……ってそれ、偶像崇拝では、
コーラン的にはいろいろまずいんじゃないですか…とは怖くて運転手さんには聞けませんでした…



とか思ってるうちにアーグラ城に到着。
ちなみに英語だとAgra fort、アーグラ要塞となります。
ここは南西にあるアマ― シン(Amar singh)門で、現在はここしか入場できないみたいです。
鉄道で来た場合は、駅のすぐそばにある、北西部のデリー門が使えないため、
かなり南下するハメになります。

でもって予備知識なしで連れて来ていただいたもので、ええええ、何この巨大城塞、という感じでございました。
出国前にアーグラではタージ・マハルしかチェックして無かった筆者、大驚愕。
中でムスカとかが悪だくみしてそうな建物ですぜ。

南北約900m、東西約500m渡り、この城壁で守られた要塞兼お城なのです。
江戸城や大阪城に比べれば半分以下の規模ですが、その代わり、
この巨大城壁が延々と続くので、やはり圧巻と言わざるを得ません。
いやはや、こんなスゴイものがあったとは…日本で得られるインド情報はまだまだ全然だなあ、と改めて思う。

私の人生でこれだけ巨大な城塞に入るのは生まれて初めてなので、ちょっと興奮しますな。
ちなみに見学できるのは場内の主に南半分の部分のみですが、それでもかなりの広さがあります。



その正面がチケット売り場。
参考までに外国人は550ルピー(880円)、インド人は40ルピーと約14倍の価格差。
まあ、もう驚きませんが、もう少し外国人にやさしくしてくれてもバチは当たらん気がしますよ、はい。

ちなみに入場料だけなら500ルピーだったんですが、Pathkarなる料金が50ルピー加わります。
パスカーってなんだ、と思って帰国後調べて見たんですが、全く判らず。
ちなみにPathkarは金曜日は無料とあるので礼拝所に入る料金か何かでしょうか?



そしてここにもアカゲザル。
ちなみにここは城塞のお濠部分で、ご覧のようなガッチリした外壁で濠が造られていますが、
現在は水を抜かれてしまっています。



城門をくぐると、城壁構造部に出ます。
奥に見えてるのが城をぐるっと取り囲む城壁部で、この門はそこから離れて造れられているのです。
つまり城壁と城門は連続しておらず、この部分は二重構造になってます。
こういった構造の城塞もあるのか。
この城塞、1565年から73年まで8年がかりでの建設だったと言われてるので、
織田信長の安土城とほぼ同世代ですね。

ここはムガール帝国以前から簡単な要塞があったようですが、
現在のものはムガール帝国三代目皇帝であり、
もっとも有能だった皇帝とされるアクバルが新たに城塞として築いたものとなります。
ちなみにアクバルはアラー アクバルのアクバルと同じ、すなわち「偉大なり」の意味です。
Alexander the Great(アレクサンダー大王)のThe Great みたいは呼称かと思ったんですが、
この人はこれが本名のようで、偉大さん、という変わった名前の皇帝だったことになります。

この城塞の完成後、アクバルは首都をデリーからこちらに移し、
以後、例のタージ・マハルを造っちゃった第五代のシャー・ジャハン(1666年没)まで、
約100年弱、アーグラがムガール帝国の主な首都となっていました。
というか、二代目皇帝まで、初代デリー時代のムガール帝国は地方国家の一つに過ぎなかったので、
大帝国となったあと、最初の首都がこのアーグラだったと思ってほぼ問題ありません。

主な首都、という微妙な言い方は1574〜88年の14年間だけ、
新たに造られた人工都市、ファテープル・シークリーに一時首都が移されたり、
デリーにも首都機能の一部が残っていた形跡があるからですが、
基本的にはムガール帝国の初期はここアーグラの城塞がその心臓部だったと思っていいでしょう。

ちなみにデリーに首都を再度遷都した後は例のレッドフォートがその宮殿兼城塞になるのですが、
こちらは後にイギリスが改造しまくった上に、入れない部分がより広く、
アーグラ城塞の方が見ごたえはあります。


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