■ターバンも貸し出し中



そこから神殿本館に向かう通路は微妙にデラックス。



でもってここにカゴがある。
なんだろう、と思ったら簡易ターバンで、頭を丸出しでの入場は禁止だけど、
ここでターバンというか頭巾を装備すれば異教徒でも入ってよし、というものです。
このお父さんみたいに、給食係かぶりで問題無いようでした。

ちなみにシク教徒のターバンは本来、頭髪を丸め込むためのものです。
宗教上の規則で髭も髪も切れないため、日常生活では邪魔なんでしょうね。

ついでにこの辺りの床の文様もイスラムの影響でしょうか。



その先の看板。
ここの屋上などに太陽光発電パネルが置かれてるようで、その紹介。
1MWpというのはどういう単位だかよう知らんのですが、この横には1年で1300トンの二酸化炭素発生を防ぎます、
とも書いてあったので、それなりのもんなんでしょうね。

この辺りの環境意識の高さは、失礼ながら皆さんホントにインド人?という位のレベルで、
しかもこの辺りの説明は全て英語なのです。
カーストとか腹筋割れたハヌマーンとか、そういった宗教と我々は違うのだよ、という感じで、
なるほど、こりゃヒンズー教徒の皆さんとは文化が違うと思う。
インドの上流階級の宗教、という感じがしますね、どうも。
まあ、キリスト教徒とかの実態を知らないので、断言はできませんが。



神殿は全体的に小ぎれいで、なるほどこれがシク教か、と感心してしまう。
インド人の中でもかなり特殊な集団なんだろうなあ、と思ったり。

ただしシク教は単なる上品なお金持ち宗教ではなく、1980年代には総本山のあるパンジャブ州で
かなり過激な独立運動を展開していました。
このため当時の首相、インディラ ガンジーはこれを武力制圧する、という行動に出たのです。
(ちなみにシク教徒側も武装していたとはいえ民兵レベルなのに対し、政府側は戦車まで派遣した)

これが1984年6月に決行されたいわゆるブルースター作戦(Operation Blue star)でした。
これによってシク教の総本山であるハリマンディル・サーヒブが攻撃され、
その内部にたてこもった信者に多数の死者が出てます。
(現在の神殿は事件後、修復されたもの)

そしてこの事件の報復として起きたのが同年10月に起きたインディラ ガンジー首相の暗殺で、
これはシク教徒の手によるものでした。
そして今度はその暗殺への報復として、インド全土でヒンズー教徒による
シク教徒襲撃暴動(Anti-Sikh riots)が引き起こされる事になります。
この時はインド全土で最低でも3000人、一説には8000人のシク教徒が殺されたと見られてます。
特に首相暗殺の舞台になったデリー周辺の襲撃は激しく、
この地域だけで3000人近くが殺された、という説もあります。
この辺りは警察が積極的に暴動鎮圧に動かなかった事もあり、
未だにその実態はよく判ってないようです。

なんというか、インドも宗教の名の下の人殺しとは無縁ではなく、
これだけの犠牲を出してる以上、シク教徒側になんらかの怨恨は残っているでしょう。
多宗教が入り混じるインドならではの問題かも知れません。
無宗教ってのは悪い事じゃないんですよ、実際。

ちなみにこの事件については政府側が未だにすっとぼけてる面があり、
インドの国政問題の暗部であり、タブーの一つにもなってるようです。



さて、では神殿本殿に入って見ましょうか。
やっぱりこれ、なんか正教建築っぽい気がするなあ。

ここも1984年のシク教徒襲撃の時になんらかの破壊が行われたと思われるのですが、
当然、現在の建物からそういった形跡は一切見出せません。


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