■そして宇宙



マクダネル マーキュリー宇宙船。
アメリカ初の人類飛行計画、マーキュリー計画で使用された宇宙船で、
シカゴで見たオーロラ7号続く、今回二機目のマーキュリー。
マーキュリー計画については何度も書いてますから、もういいですね(手抜き)。

マーキュリーセブン、7人の宇宙飛行士の内3人が空軍のパイロット出身だったほか、
この宇宙船を打ち上げたアトラスロケットは空軍初のICBM、アトラスミサイルの流用でしたから
(アトラスミサイルはなぜかICBMの館に展示が無かった)
空軍はかなりの貢献をしていたわけです。

展示のカプセルは実際の飛行には使われずに終わったもので、
最後はどうも緊急時の部品取り用として使われていたようです。
このため大気圏突入をしておらず、かなりキレイなものとなってます。
ちなみに空軍の所有物では無く、スミソニアンから借りてるものだそうな。



宇宙船の底面の中はハニカム構造で埋まってました。
おそらく耐熱性の維持のための構造だと思いますが詳細は不明。
この上にカバーを付け、そこに融解して熱を吸収する耐熱シートを貼りつけます。

ちなみにここの解説では大気圏突入時の高熱を大気との摩擦だ、と解説しており、
大丈夫かアメリカ空軍、と少し不安になりました…
当サイトでは何度も書いてますが、大気圏突入時の高熱は衝撃波背後熱が原因です。
(音速の壁によって逃げられて無くなった空気による断熱圧縮)
まあ、その辺りはNASAの管轄なんでしょうけども。



お次はマクダネル ジェミニ B。
アメリカの有人飛行計画第二号、ジェミニ計画で使われた宇宙船…
と見せかけて、実はこれ空軍が計画していた極秘宇宙計画用の専用機で、
故にB型であり、胴体横にアメリカ空軍の文字があるのでした。
ジェミニ計画では前回見たハイパーゴリック液体燃料使用の
タイタンミサイルが打ち上げロケットとして使用されてましたから、
空軍としては使いやすい宇宙船だったのかもしれません。

この機体はManned Orbiting Laboratory (MOL) 、有人実験衛星計画という計画の中で造られたのですが、
例によってこの名称は実態を誤魔化すためのもので、実際は有人スパイ宇宙船の運用を目指したものでした。
スパイ衛星大好き空軍ですからね。
一種の有人宇宙ステーションを飛ばし、そこから人間が直接見て重要と判断した対象を撮影、
そのフィルムを持って地球に帰還する、という計画で
その有人偵察衛星までの往復手段として開発されたのがこの宇宙船でした。

このためよく見るとコクピットの後ろにハッチがあるのが判るかと。
ここを通じて偵察宇宙ステーションへと出入りするらしいのですが、
これ、耐熱シールドに穴を開けるわけですから、大丈夫なのか、という気がしますが…
1963年に開発が始まったらしいのですが、最終的には有人実験に入る前、1969年に
予算不足と政治的な配慮によって計画はキャンセルされてしまってます。
よって、これもまた未使用の機体となります。
ついでこれまたスミソニアンからの借りものです。



中身はほぼジェミニですから、他の展示ではよく見えなかったコクピットの写真を。
最初のマーキュリー宇宙船は一人乗りだったのが、複座になってるのがジェミニの特徴です。
しかし、これだけ狭い空間に二人で長時間座りっぱなし、
となると精神的にはきついだろうなあ、と思ったり。
後ろに見えてる水密ハッチみたいなのが例の偵察衛星との連絡用のもので、このB型だけの特徴ですね。

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