■引き続き宇宙周辺



アポロ15号の司令船。

月まで行ったあと、地球に帰還するのに使う部分で、月着陸船は捨てられてしまいます。
シカゴの8号に続く、今回の旅で2機目のアポロ宇宙船です。
ちなみにこれもスミソニアンからの貸し出し品でした。
15号からはlunar rover vehicle、いわゆる月面車も使われており、
従来の14号までのアポロ計画から大きく進化した月面探査でもありました。

この15号は搭乗員全員が空軍出身という機体で、このためここに展示されてるのでしょう。
ちなみに月着陸しなかったものを含めて、実際にアポロで飛んだ宇宙飛行士は29人いるのですが、
その内14人、約半分が空軍の出身(あるいは空軍に居た事があった)でした。

アポロの月司令船と着陸船には全て個別の名前がついてるんですが、
15号の司令船はエンデヴァー、スペースシャトルの最終生産機と同じ名前で、
これはクック船長が探検航海に使用した船の名前から取られています。

アポロ計画については、これまでにも散々書いたので、もういいですね(手抜き)。



ヴォート ASM-135A ASAT対人工衛星ミサイル。

スミソニアンにもあったミサイルですが、こちらは弾頭部などの色がちょっと違ってます。この辺りの詳細は不明。
ちなみにASMもASATも、おそらく対人工衛星ミサイル(Antisatellite missile)の頭文字を取ったものでしょう。

1970年代末にソ連が開発したとされるキラー衛星、
通信、偵察衛星を軌道上で破壊できる攻撃衛星に対抗するため開発された、空中発射の対人工衛星ミサイルです。
全長約5.5mの二段ロケットとなっており、かなり大型のため、搭載可能な機体はF-15のみでした。
高度38000フィート、約11600m(11.6q)で発射され、最大500q前後の衛星軌道まで到達可能だったとされます。

1985年9月に、当時機能の一部が死んで運用が中断されていた太陽観測衛星、スローウィンドに向けて
実射試験が行われ、高度550qを飛んでいたこの衛星に命中させるのに成功してます。
が、結局、予算不足やソ連との政治的な駆け引きの結果、開発は中断され、実戦配備には至りませんでした。



ボーイング X-40A。

一部で有名なアメリカ空軍の無人宇宙船、スペースシャトルの後継機とも言えるX-37の先行試作型。
当然これも無人機で、滑空試験用の先行試作型なのでエンジンも積んでません。
1998年8月に最初の飛行試験が行われたのですが、宇宙空間までは送られず
わずか高度1万フィート(約3050m)から自由降下させ、自動操縦装置などの試験に使われました。

X-37の先行試作型がなんでX-40なんだとか、NASAの文字も見えてるのに、
後継機のX-37は純粋な軍事宇宙船になってるのはなぜだとかは、いろいろ面倒な話となっております。
私も完全には把握して無いのですが、NASAと空軍がスペースシャトル時代に新たな宇宙往還機として計画したものの、
NASAはスペースシャトル型の宇宙船に興味を失って撤退、予算の都合もあっていくつかの計画が統合となり、
X-40とX-37の計画が一本にまとめられて空軍が引き継いだのがX-37、という感じらしいです。

ちなみにX-37はただの宇宙往還機ではなく、人が乗ってないので年間単位で衛星軌道を飛び続ける事が可能です。
なので、飛行後に無事に地球に帰って来る再利用可能な人工衛星、という感じの機体になってます。
無人のスペースシャトルみたいな機体と考えたらそれはちょっと違うのです。
空軍はX-37に関してはほとんど情報を公開してませんが、おそらく電波、光学両方からの
偵察任務などに投入してるんじゃないかと思います。確証はないですけどね。


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