■まずは朝鮮だ



さて、第二ハンガーに到着。
ここからは一つの巨大ハンガーになってるので、とにかく展示室内がデカいです。
B-52の屋内展示はイギリスのダックスフォードでもやってますが、
ギリギリ一杯だったあちらに比べ、こちらは完全に余裕で入っております。

とりあえずは入って左がベトナム戦争の展示で…



右側が朝鮮戦争の展示となってます。
よく見ると画面両端にベトナムでも朝鮮世代でもない機体が見えてますが、
展示場所が他になかったんでしょうかね。

とりあえず、時代順に朝鮮戦争編から見て行くとしましょうか。
ただし、ここの展示だと朝鮮戦争の表記が、War と Conflict 入り混じってまして、
アメリカ空軍では未だに公式に戦争とは認めてないんでしょうか。
確かにアメリカは宣戦布告はしてませんが、国連軍が北朝鮮軍を迎え撃ったわけですから、
普通はWar の表記になるはずですが。

ちなみに一時は忘れらた戦争、とすら言われてた朝鮮戦争ですが、
最近はアメリカでも出版物、Web上の資料などがだいぶ増えて来てます。



アメリカで初めて機首部に観音開きドアが付いた巨大輸送機、
4発エンジンのダグラスC-124C グローブマスターII。
1974年ごろには州軍も含めて全機が隠退、その直後の1975年にこの博物館の所有となった機体だそうな。

約448機を空軍が購入、朝鮮戦争、ベトナム戦争で運用した巨大機なんですが、イマイチ知名度は低い機体です。
部隊配備開始は1950年5月、すなわち朝鮮戦争直前でした。
通常は巨大な空間が機体内にあるのですが、そこに折りたたみ式の中床(天井)があり、
これを閉じると内部は二階建て構造になって、完全装備の兵員を200名搭載出来たそうな。
輸送機に観音開きドア、というのはそのまま自走して車両が積める、という素晴らしいアイデアなんですが、
最初にやったのはやはりドイツのギガントでしょうかね。

以前の展示では機首下に斜めに取り付けられた観音開きドアが開いていて
自由に中に入れたんですけど、今回は中に入れず。

ちなみにグローブマスターII、というからには I もあったのですが、
そちらのダグラスC-74は戦時中に開発が始まった大型輸送機で(ただしC-124のような二階建て構造では無い)
開発が遅れまくって終戦後の配備となったため、ほとんどまともに採用されずに終わってます…



クリーブランドトラクター社のM2中型トラクター(牽引車)。
こんなものまで展示されてたりするのがこの博物館のありがたいところ。

第二次大戦期から朝鮮戦争にかけて使われていた基地内用牽引車で、
銃弾や増槽、爆弾を積んだ荷車を運搬するのに使われてました。
さらに発電機を搭載、圧縮空気作成もでき、エンジン停止中の機体への電力供給、
航空機のタイヤの空気入れ(意外な重労働なのだ)などにも使われていました。

航空機のけん引もできたとされますが、最大けん引重量がで4トン前後なので
重い機体が多かったアメリカ陸軍で、けん引可能だった機体は限られたんじゃないでしょうか。

…と思ってたら、P-47をけん引してるらしい写真を見つけてしまう。
4トンというのは水平方向の荷重(抵抗力)の大きさで対象の重量では無いのかしらむ。
だったら双発のB-25くらいまではけん引できたはずですが…
まあとりあえず、非常に有用なトラクターだった、としておきます(手抜き)。



C-124Cの下には様々なパネル展示が。
こういうのも全部読んでいたいら、本気で見学に三日はかかるので軽く流します。

ついでにC-124の翼端にあるのは単純に燃料タンクだろうと思ってたんですが、
よく見ると下に変な穴が開いてますね。
なんだこれ。
緊急時の燃料投棄用にしてはデカすぎる気がするし、なんかの排気口っぽい感じ。
ひょっとしてそもそも燃料タンクでは無い?
…でも調べるのが面倒なので、とりあえず謎としておきましょう(手抜き)。

ついでにこの機体、翼の端に向けて翼の前後幅が全く絞り込まれない真四角な形に見えますが、
これはレンズの画角と構図の組み合わせによるトリックで、
実際はキチンと翼端にむけて細くなってゆくテーパー翼になってます。
写真から構造物の形状を正確に読み取るのは意外に油断ができないのです。


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