■遺跡突入

さて、今回見学するのは、
ワット・マハタート(Wat Maha that)と呼ばれる
アユタヤの遺跡の中でも中核をなすらしい場所。

これは王宮の東側にあった王室直属の仏教寺院で、
諸説あるものの、とりあえず1370年頃、
すなわち14世紀から建築され始めたと考えられているようです。



例によって手入れがされてない(笑)この遺跡図によると、
中央に巨大な仏塔、パゴタがあり、
その東西に回廊というか参道が伸びてます。
これ、ほぼ真東を向いてるので、太陽信仰的な意味もあるかも。
ただし現在の見学コースの入口はその南側、
図の下側の右端あたりにあります。

ちなみに中央の巨大なパゴダは
ギリギリ20世紀の1903年ごろまで残っていたそうですが、
なんと老朽化により崩落してしまったそうな(涙)…。
つまりこの件に関してはビルマは無罪です(笑)。
このため現在の敷地内部は廃墟に近いものしか残ってません。

そういった意味では、次に訪問するワット・ラチャブラナの方が、
かつての寺院構造をかなりよく残してます。
なのでアユタヤ式寺院の構造の解説については次回にして、
今回は純粋に遺跡見物としましょう。

ただし内部の仏塔、いわゆるパゴダは何度か建て替えられてるようで、
現在残っているのが、いつの時代のものかは私にはよくわかりませぬ。
とりあえず1767年にビルマに破壊されてそのまま、
というのだけは確かです。

ここは1956年ごろから修復が開始され、
さらに1969年、76年にも大規模な補修があり、
ほぼ現在の姿に整えられたようです。
ただ内部を見た限りではそれ以降も修復が行なわれてるようにも見え、
なおかつ、どこまでオリジナルのママなのか、
どうもよくわからない部分があります。

ついでながら、このラマ公園周辺だけが
ユネスコの世界遺産だと思ってたんですが、
今さら確認してみたら、アユタヤ島のほとんど0が
アユタヤ歴史公園として世界遺産に指定されてるようです。
ただし、解説によってその指定された地区が異なったりしてるので(笑)、
とりあえずアユタヤ島周辺、と思っとけばいいでしょう、多分…。

ちなみに世界遺産にロクナモノなし、が私の経験則なんですが、
アユタヤはギリギリ引き分け、悪くは無いかな、という感じでした。
でも、わざわざ見に行く価値ある?と聞かれると人によると思います(笑)。



この入口横の小屋で50バーツ(約175円)の入場料を払って入場。
バンコクだと100バーツ(約350円)くらいが入場料の相場ですから、
良心的なお値段と言っていいでしょう。
ただしここ、この公園周辺だけでも、三つの遺跡があり、
さらに島中の全部の遺跡に入ったら結構な額になると思われます(笑)…。



さて、こちらが入口ですね。
本来は裏口みたいな位置で、なんでこんな場所から入らせるのか、よくわかりません。
次に訪れるワット・ラチャブラナはキチンと正門から入れたんですけど。



中に入るとこんな感じ。
先に書いたように中心部にあった大パゴダが崩壊、消失してるため、
ほんとに廃墟だね、という感じの景色が広がります。

全ての建物はレンガ積みむき出しですが、これが元からなのか、
かつては全て白い漆喰のような壁で飾られていたのかは判別がつかず。
おそらく後者だと思いますが…。

ついでにこんだけ高温多湿の地域では、日干し煉瓦ではなく
焼きレンガだと思いますが、コレだけの量を焼き上げるのには
どれだけの森が消えたのかな、と思ったり。

高熱命の製鉄に比べれば森林破壊力に劣るレンガ焼きですが、
それでもこれだけの量となると、
必要な燃料の木材は相当な量だったでしょう。
これだけやって文明が滅びなかったのは、
すぐに木が生えてくる熱帯雨林の恩恵かもしれません。



現在でも小型のパゴタ類は結構いい状態で残ってます。
ビルマ軍によって破壊されたとはいえ、
どうも放火して満足しました、というレベルのような感じで、
木造建築や、建物の木造部分は残ってないものの、
こういったレンガ積みの建物は結構形を維持してます。

先に書いたように、ここの中心部にあった大パゴタは
20世紀に入ってから崩壊したようですから、
他の崩壊もビルマ軍の破壊だけでなく、
単に手入れがされてなかった事による老朽化が
一因のような気もしますね、これ。

ちなみに手前にあるのは井戸です。
こんなところまでレンガ積み。


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