■静かに皆狂ってた



戦争の航空機棟を出ると、目の前にこれが見えてますので、
迷うことなく次の展示棟に行けます。




中に入ると、パネル展示からスタート。
当時の世界情勢とか、核兵器の登場がいかに戦争を変えたか、
といった辺りの説明が書かれてます。

結構、要点をキチンと突いていて勉強になるんですが、
誰も読んでませんでした(涙)…

ちなみに、第一次大戦と第二次大戦までの戦間期もそうですが、
平時の軍というのは、何よりも予算をどうするか、が問題となります。
この点はイギリスもアメリカも同じで、
冷戦期の連中の考え方、というのはとにかく予算ありき、なのです。

冷戦期の兵器開発と、その基となる戦略方針の基本はとにかく予算が取れることです。
ついでにうまくいったら戦争に勝てること(笑)、といった話で、
あくまで最初にあるのは予算です。
誤解を恐れずに言ってしまえば、軍上層部の連中にとってソ連なんてどうでもいいんですよ(笑)。
予算が取れるなら、仮想敵は火星人でも、アパッチ野球軍でも全く問題ないのです。

いざ戦争になったら、その時対策を考えりゃいいわけで、
(実際、アメリカはそれで第二次大戦に勝っちゃってるのだ)
平時には、いかに議会と国民にウケてお金をもらえる戦略を示せるか、
これだけが彼らの関心となります。

予算が増えて、組織が拡大すれば、定年まで軍隊ですごせる可能性が上がり、
部署が増えて役職が増えれば、中佐どまりのオレだって、
少将くらいまでなれるかも!といった可能性が出てきます。

逆になれば、予想より早く軍から追い出される事もあるわけですから、たまりません。
軍人さんも人間ですし、人生設計もありますから、
この点は極めて重要なポイントとなります。

予算、お金が軍隊を動かす、のです。
この点をキチンと理解して無いと、この時代の軍隊とその戦略は理解できないでしょう。

といった事を踏まえて、さて、冷戦期の展示を見て行きましょうかね。



でもって、最初はこんな感じに、軍ではなく、国民の視点から、
つまり反戦デモ、核兵器反対運動とかの“それっぽい展示”から始まります。

そして、これも誰も見てませんでした(涙)…。

ちなみに、この白い石膏像を使った展示は、
アメリカのスミソニアンの各博物館がやっていた展示方式と同じですね。
参考にしたのか、英米ではこういったスタイルが昔からあるのか。



さて、そこから先に進むと、最初の展示がこれ。
翼がないので恐らく戦車でしょう。
ローマの百人隊長ことセンチュリオン戦車だと思われます。

イギリス空軍、こんな本格的な戦車まで運用してたのか!
と驚いたのですが、さすがにこれは陸軍のものでした。
…なんで展示してあるんだ、これ(笑)?

このセンチュリオン戦車は各国から戦車不毛地帯呼ばわりされ、
トサカに血が上ったイギリスが全力で開発した主力戦車で、
1945年にデビューしてます。

ギリギリ第二次大戦に間にあわなかったものの、
非常にバランスのいい戦車だったようで、イギリスはもちろん、
海外でも採用され、さまざまな戦争に参加して、一部は今でも現役だそうな…。

ちなみに、この戦車に積まれているロールスロイス ミーティア(Meteor)エンジンは、
スピットファイアやハリケーンに積まれた事でしられる傑作航空エンジン、
マーリンを元に開発された戦車用のエンジンです。
過給器を簡略化し、高価なジュラルミン製パーツを鉄製に代えたりしたようですが、
基本的な構造はマーリンのまま。
まあ、海に陸に大活躍のエンジンとなってますね、マーリン。


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