■超高密度航空機空間



では爆撃機の館を見学終了、そこからゲートで繋がってる
もう一つの本館、歴史的な機体のハンガー(Historic hangers)に行くことにしましょう。
爆撃機ホールの中央にデーンと据え置かれているこのランカスターの前から
移動できるようになってます。



歴史的な機体のハンガー側から見ると、こんな感じ。
右側に見えてるのが爆撃機ホールのランカスター、こちら側にいるのは、
イギリスの博物館らしくスピットファイアで、これはMk.V(5)ですね。
(Mkでマークと読み、大戦前半のイギリス機はローマ数字で型番をつけるので
Vでファイヴ、併せてマーク ファイヴと読みます)



ちょっと奥に入ってから撮影した写真ですが、全体的にこんな感じで、
レシプロ機からジェット機まで、イギリスで使用された主な戦闘機、
そしてヘリコプターなどが集められた展示棟です。

ちなみに手前に写ってるホーカーの方のタイフーンは、世界唯一の現存機。



さて、では入り口付近から見て行きましょう。

入ると最初に居るのが、上の写真のスピットファイアのMK.V(5)と
この“最後のスピットファイア” F24です。
(ちなみにこの博物館の説明文では“究極(Ultimate)のスピットファイア”)
1946年に配備開始、1952年まで使われていました。

当然、この世代ではエンジンはグリフォンに置き換えられており、
よって機首形状はマーリンエンジン搭載のスピットとは全く異なりますし、
実は主翼も微妙に変わってる上、プロペラは5枚に増え、
挙句はコクピットも水滴風防になってるんだから、こりゃもう完全に別物でしょう。

視聴率対策のため、スポンサーによってテコ入れされまくって、
ほとんど別物になってしまったキャラクターのようですね、こうなると。

F24が空軍では最後のスピットファイアの型番となるのですが、
完全な新型機ではなく、前の型、F22のマイナーチェンジでした。
(F23は試作機で使われ欠番)
しかも全配備数81機のうち、少なくとも20機以上は新造ではなく、
既にあったF22を改造して造られた機体で、
イギリスを代表する名戦闘機も、最後はイロイロとゴタゴタしてた感じです。

展示の機体も、1946年に製造されたものの、結局使い道がなく、
ほとんど予備機材のような扱いとなっていたもので、
まあ、造っちゃったはいいけど、どうするか?という感じだったのでしょうね。

ちなみにF24が部隊配備されていた主な基地は香港で、
スピットファイアは、ここで引退を迎えてるようです。

ついでながら、空軍のスピットは21番からほぼ新型と言っていい
機体となるのですが、これ以降のスピットを“F”ナンバーで呼ぶ場合と、
従来のスピットと同じ“Mk.”マークナンバーで呼ぶ場合があります。

なので、この機体もF24と書くケースとMk.24と書くケースがあるのですが、
ここでは博物館の表記に従ってFナンバーにしておきます。
ここら辺のルールは、私もまだよくわからんのです。




そういやまだ一度も写真を載せたことが無かった、
ロールスロイスのグリフォンエンジン。

世紀の傑作エンジンといえるマーリンの後継機ですが、
全く別に開発されたいたものなので、微妙に印象が異なります。

ただしこれはスピットファイアに搭載されたものではなく、
戦後に製造されたアヴロのシャクルトン(shackleton)対潜哨戒機に搭載されていた
グリフォンのMk.57Aで、実に1991年まで現役だったとか。
48年間使用された、とありましたから、グリフォン、意外にタフなエンジンだったんですね。

ついでながら、このエンジンでもスピットには搭載できるようで、
戦後、アメリカなどで飛行可能な状態で維持されてるグリフォン スピットファイアで
シャクルトンからエンジンを持ってきた機体があります。


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