■2005年 アメリカ ワシントンDC スミソニアン博物館 航空宇宙館にて撮影

こちらはアメリカの首の都、ワシントンはスミソニアンの航空宇宙館にある機体。これも52型。
例のPOWの機体と同時にサイパンで回収された61-131号機だ。
素性もはっきりしていて、現存ゼロ戦の中でも最も有名な機体だろう。
エンジンがオリジナルのものではないらしい(栄31型?)、塗装がけっこういい加減、
などなどいくつかの問題を抱えるものの「完全に機体が丸ごと残ってる」という条件ではベストな機体だろう。
ちなみに例のPOFのも61-120号機もこれも中島製の機体。
「あれ?ゼロ戦ってスリーダイヤモンドこと三菱製じゃないの?」
本来はね。でも日本に限らず、とにかく大量に造らないとならない主力戦闘機は、
多数のメーカーが手分けして製造することになるのが普通だ。
とは言っても、中島は陸軍の主力戦闘機の生産メーカーなんだから、よくやったよなあ、という気もする。
まあエンジンはもともと中島製なんで、まったく縁がないわけでもないんだが。
アメリカで「一応」主力機メーカーだったカーチスも、いろんなメーカーの機体をその工場で造ってるので、
そんなに特殊な例ではないのかもしれないね。
「これって天井からぶら下げられてるの?」
そう。スミソニアンの航空宇宙館は、空中からぶら下げられている機体展示が多いんだ。
けっして広い建物ではないんで、展示点数を稼ぐにはしかたないのかもしれない。
ただ、ゼロ戦はここ以外にも、やたらぶら下げられてる機体が多い気がするんだよ。
「飛んでる状態で展示したいんじゃないの?」
まあ、そう考えられなくもないが、どうも脚が弱いんじゃないか、という気もする。
「というと?」
いわゆるオリジナルに近い「現存機」はほとんどブラ下げて展示されてるんだよ。
キチンと脚を出して地上に展示してあるのは、事実上のレプリカか、
プレーンズ オブ フェイムの機体のように、徹底的にレストアされたものだけなんだ。
おそらく自重に耐えられないくらい、みんな脚がヘタッってしまってるんじゃないかなあ、と。
「それだけでは、証拠としては弱くない?」
弱い(笑)。まあ、あくまで推論の一つ、ということで。

下から。
機体の真ん中に開いてる穴は飛行状態で組み立ててディスプレイするとき、台座にはめるためのものだ。
「飛行状態でディスプレイ?」
わからなければ、そのまま流してちょうだい。
「…いいけど。本当はなに?」
爆弾を搭載するための懸架装置を付ける部分らしい。
この機体、先にも書いたように「現存するゼロ戦」の中ではベストなコンディションなのだが、
主翼の20mm機関砲の排莢穴は塞がれてしまってるようだ。
「排莢の穴って?」
機関銃の弾を撃ち出した後に残る、火薬が入っていた円筒状のケース、すなわち薬莢、それを捨てるための穴だね。
「捨てちゃうんだ」
捨てちゃうんだよ。回収してもバチは当たらないだろうに。
さすがにもったいないんで、演習とか訓練ではここに小さな回収袋を付けて
使い捨てにはしないようにできる機体が多いが、ゼロ戦にもそういう工夫があったのかはわからない。
ただし、サイパンで鹵獲されたゼロ戦の写真を見ると、どうも鹵獲段階で塞がれていたようにも見えるし、
アメリカでテスト中の写真でもすでに塞がれてるようだ。
ここら辺は何か事情があるのかも知れない。無いかも知れないが(笑)。
あと、主脚を収納してるカバーにも注目。
「なにか変なの?」
いや、実はあのカラーバー、実際に変なんだけど、今回のテーマは、きっちり全部塞がってるデザイン、ということ。
「カバーが?そりゃそうじゃん」
いや、そうでもないんだ。1940年ころの同世代機には車輪部分が半分むき出しで収納、なんてのはザラだ。
P40、スピットファイア、Bf109…などなど、ゼロ戦よりハイパワーなエンジン積んで、より高速な機体でも、
車輪部に半分しかカバーがついてないのなんて、いくらでもある。
「と、なると?」
500km代前半の速度しか出ない機体に、これはやり過ぎなんじゃないかなあ、と。
まあ、無駄とは言わないけど。
ついでに脚カバーの車輪部分にある黒い丸もなんだか気になるんだよね。
■全国396人の脚カバーマニアに送る俺の歌■
「また変なものを…」
いや、まあ、ついでだからね。
意外に注目されてないような気がする脚カバーを一気に見てみよう。

ゼロ戦をケチョンケチョンにしてしまったF6Fも実は車輪下半分はカヴァーしてない。
F4Uなんかは結構こった造りでフルカヴァーとなってるので、
ここら辺が「グラマンらしい大雑把さ」ではあるのかも。
ちなみにF6Fは緩やかな逆ガル翼である、とちゃんと認識してる方、何人ぐらいいらっしゃいます?
この角度からだとよくわかりますな。

大英帝国の顔、スピットファイアでもこんな感じ。
この機体、あまり注目されてませんが、脚を横でも後ろでもなく、
「斜め後方」にたたむ、という変な特徴があります。

個人的に「1万機以上造られた飛行機の中では最もアタマの悪い設計大賞」グランプリとしている
P40ウォーホークではもう全面的にむき出しなのだ。
つーか、この機体、実は主脚のうち主翼内にキチンと収納してるのは車輪だけで、
それ以外は機外にむき出しとなっていて、そこにカヴァーをつけただけだ(笑)。
陸上機(翼は折りたたまれないからスペースは広いはず)なのに後ろ向きに収納するってのも、
いかにも付け焼刃で引き込み式脚にしました!って感じでステキだぞ。
それでも、ゼロ戦よりは高速だったりするが…。
この機体のチャームポイント、主翼下面の排莢穴にも注目!

シャレててスマートでカッコいい彼、といった印象の(私だけ?)
Fw190Aさんも、実は車輪を完全にはカヴァーしない。
アルマーニのスーツでビシッと決めた彼、でもよく見たらサンダル履きでした、
みたいな感じかな?
「例によってあんただけだよ、そう思うの」
そうかなあ。
ちなみにこの機体、尾輪も完全にむき出しですが、これは帝国戦争博物館のポカで、
飛行中は真上方向に引きあげられて、車輪下半分だけがむき出し状態になってるのが正解。
あまり他にない機構ですな。Fw190は独創の宝庫ですね。
一応フォローしておくと、Fw190でも液冷エンジン搭載型はちゃんと全カヴァーです。
ついでに今気がついたが、かなりやる気のない照明だなあ、これ(笑)。
さて、とりあえずゼロ戦にもどりましょうか。
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