機首部下面のアップ。
プロペラスピナーの先端にある出っ張りはエンジン始動車で回す時に引っ掛けるためのアダプター部。
この写真の反対側、機首左下にはクランク差込穴もあるので、どちらででも始動できたようです。
で、ご覧のように翼の付け根の下に何か穴が開いてるんですが、何のためのものか、不明。
個人的には未だなんだかよくわからん燃料冷却装置とやらでしょうかね。
本来はここにもカバーが付いていたはず。中には筒状の「何か」が入ってます。

でもって、真ん中にデン、とぶら下がってるのはオイルクーラー(潤滑油冷却器)閣下。
エンジンというのは稼動中、とにかく冷やさなきゃならんので、オイル(潤滑油)も熱をもったら
ガンガンに冷やしてゆきます。この装置は空冷だろうが水(液)冷だろうが原則として無くせません。
でもって五式戦のこれは、設計者自身も認めている、そりゃないだろーポイント。
むき出しにして機外にぶら下げただけですんで、空気抵抗の発生源としてはかなりグレートだったでしょう。
この「機首のカウリングの下にそのまんまオイルクーラーをぶら下げちゃう」という、
ワイルドでチャレンジャーな搭載方は日本機では最も一般的な方法ですが、他所様ではまず見かけません。
その元祖というか元凶は零式艦上戦闘機こと、スリーダイヤモンドのゼロ閣下でしょうね。
独自路線を行ってた隼もその軍門にくだり、疾風、この五式戦、 雷電などなど皆さん、このスタイル。
誰か一人ぐらい、どこかの段階で「こりゃねえだろう」って気づかなかったんか(涙)…。

ちなみに、この機体のオイルクーラー部分は、何かおかしいんですな。
現存している写真で確認できる範囲においては、明らか形状が違うんですよ。
当時の写真では、この部分の機体下部は1枚の板から成型されて造られているようで、
このようにクーラー部だけ別パーツ化はされてません。
かつ、もう少し横幅が広く、なめらかに広がり、背も少し低いはず。

でね。
学研の歴史群像「疾風」によれば、疾風のオイルクーラーは途中で変わってるそうで、
確かに米軍に鹵獲された2366号機、いわゆる302番機と、
現在でも知覧に保管されてる1146号機ではオイルクーラーの形状が異なります。
でもって、この302号のオイルクーラーと、この五式戦のオイルクーラー、よく似てるんですね。
この新しい方のオイルクーラーは天下の豊田自動車製らしいんで、
織田信長の庭、こと各務ヶ原で生産されてた五式戦についてた可能性はあるかも。
ただ、現存してる写真で見る限り、このタイプのものは確認できないんで、
現地の連中か鹵獲したイギリス軍かが、疾風のものくっつけちゃった可能性はあります。
つくのかどうか、よく知りませんが…。 

無論、めんどくさいので、全く裏づけは取ってません(笑)。
とりあえず、これがイギリスで適当にくっつけたもんでなければ、
五式戦のオイルクーラーは2タイプある、というのは間違い無さそうです。
このオイルクーラー、後ろのカバーが紛失していると言われてますが、
これ、この状態で正解、というかこのタイプのは後ろのカバーないのが正しいような。
カバーをつける部分があったならネジ穴が残ってるはずなんですが、見当たりません。
ま、正確なとこはわからんので、興味のある人は自分で調べてください(笑)。
でもって、正解がわかったら、教えてください(殴)。


こしてみると、F4Uが採用した、翼の前部付け根部分にスリットつけてオイルクーラーを埋め込んでしまう、
という設計は悪魔のような天才的アイデアだよなあ。
後にこの設計をグラマンが臆面も無くF7FF8F でパクリますが、気持ちはわかる(笑)。
ちなみにドイツの空冷閣下ことFw190ではカウル内の強制冷却ファンの後ろに、
リング状にしたオイルクーラーを入れる、
という、いかにもドイツ的で、そこまでやるか!な処理になってます。

まあ、この「牧歌的田舎臭さ」が日本機の魅力でもあるんですが、
そんな機体で戦わされる方はたまらんよな、とも思うわけで…。



斜め後ろから。
水平尾翼右端になにか赤いものが付いてます。
昇降舵が下がってしまわないように抑えてるみたいですが、仔細不明。
無論、オリジナルにはないものです。
あのキャノピー、後方視界、よかったとは思えんなあ…。
カウルフラップが開いてますので、エンジンの排気管が確認できます。
垂直尾翼を動かすロッドが水平尾翼の下にあるの、見えます?



少し近くから。
三式戦 飛燕ゆずりの「やる機のかけらもない」尾輪がいい感じですな(笑)。
最初見たとき、この部分は部品喪失で適当な車輪をくっつけたな、イギリス人!
と思ってたんですが、帰国後調べてみたら、悪いのは日本人の方でした(涙)。
せめてカバーか何かをつけるとかさ…、少しはさ…。



斜め前前方から。
この角度からはカッコいいですね。
エンジンの下にオイル取りようの雑巾(?)が置いてありますので、
エンジン、それなりのコンディションで保存されてるようです。
20ミリ機関砲の射出孔部分、えらく深くてどこからどう弾が出てくるんだ、と思ったら、
これ、機関砲、外されてました。本来は銃身が見えてるみたいですね。
エンジンカウル内の空気の逃げ道を作って冷却効果を上げる
カウルフラップが開かれてのがよくわかります。

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