■ハインケルHe219 (ウーフー)
Heinkel He 219(Uhu)
試作機だったV9型でテスト出撃してみたら、一晩でいきなり重爆撃機を5機撃墜。
その後、おなじく試作機のV7、8とあわせ10日間で計20機を撃墜。
その中には、これまで撃墜が困難だったモスキート夜間戦闘機も6機含まれており、
さらに3機の試作型He219の損失は0、というガンダムなみの華々しいデビュー戦を飾ったことで知られる機体。
ウーフとは、ドイツ語でワシミミズクのこと。
眉毛付きフクロウことミミズクの中でも、巨大かつ獰猛な種類らしいです。
タヌキやイタチはおろか、子鹿を襲った記録もあるらしいので、
「ミミズク」といっても、そうとう強力なようですね。いやん、夜の帝王。
ちなみに、英語だとEagle-owlで、フクロウもミミズクも一緒、
というかミミズクって分類はないようです。
クロコダイルとアリゲータの逆パターンですかね。
で、ドイツ機のご多分にもれず、本機の愛称も正式なものではなく、
おそらく現場のパイロットたちの呼び名だったみたいです。
■2005年7月 アメリカ ワシントン スミソニアン航空宇宙博物館別館 ウドバー ハジーセンターにて撮影
おそらく世界で唯一の現存機と思われるスミソニアンのHe219A-2、290202号機。
アメリカが戦争末期に実行した「ドイツ空軍の恥ずかしい秘密を調査しちゃう大作戦」ことルスティー計画
(LUftwaffe
Secret TechnologYでLustyだが、Operation
Lustyと書くと「元気モリモリ作戦」て感じの意味にもなる。
例によって米軍作戦名でよくあるダジャレでしょう)
の中で鹵獲された機体で、当初3機持ち帰られたHe219中、唯一の生き残りが本機。
2005年7月現在、胴体と尾翼部のみの展示。残りの主翼、エンジン、脚部は修復中、とのことでした。
何しろ現存する写真の少ない機体なので、まあ、資料的な価値はあるかな、ということで載せますね。
後部上からみた写真。スパっと絞り込まれた細身の、直線的なラインの機体です。
コクピットが機首最先端にあるという特殊なレイアウトがよくわかります。
垂直尾翼が2枚に分かれてるのは、射出座席を入れたため、
脱出時にぶつからないように、という配慮らしい。
が、パイロットの記録とか見ると、結構バカスカぶつかってますんで、あまり意味ないかも(涙)。
ただのプロペラ機になんで射出座席が…というと、コクピットがあの位置なので、
脱出しようとしてふと後ろを見ると、アレま!プロペラがブンブン回ってますよ!
あれに巻き込まれたら、確実にミンチですよ!というレイアウトなため。
視界と引き換えに生じた危険性への対策です。これを使って強制的に機体真後ろに弾き飛ばします。
一応、量産化された軍用機では、最初の射出座席搭載機でしょう。
世界初の試作ジェット戦闘機He280、さらに戦争末期に造られたHe162
、
これらは全て射出座席を搭載しており、ハインケル機のパイロットの生存性に対する配慮は
それなりに評価されるべきだろうなあ、と思いますね。
ちなみにHe280以降、ハインケルの小型機はやたら垂直尾翼が2枚の機体ばかりなんですが、
これは空力的な裏付けがあって…というより、先に書いた射出座席対策みたいですね。
現在のジェット機に搭載されたかなり高い位置まで打ち出されるものではなく、
あくまで操縦席から勢いよく放り出される、というレベルらしいので。
さて、夜間戦闘機というジャンルは、物好きにも夜中に出撃してくる敵機がいなければ成立しないジャンル。
なんでまた視界がなくて危険な夜中に敵がやってくるの?と言えば、
それは夜間なら目立たず、より安全に爆撃できそうじゃん、と考えるからですね。
なんで、敵として想定されるのは、大型の爆撃機で、これを一撃でしとめるための重武装が要求される代わり、
全開バリバリで縦横無尽に飛び回るような運動性能は必要とされません。
相手はせいぜい時速400km程度かそれ以下の連中ですし、いきなり背面飛行から急降下に入る事もない。
(イギリスの双発爆撃機は、けっこう派手な機動をやっていたらしいが)
なんで、確実に敵に照準をつけれられる安定性があり、パイロットは操縦に専念するために、
レーダーや無線を受け持つもう一人以上のクルーが乗れる機体、というのが要求されるスペックとなります。
実際、イギリスのモスキート
、アメリカのブラックウィドゥ、ドイツのこのHe219やMe110、
日本の月光、屠龍
など、各国の夜戦はすべからく双発で、複数のクルーが乗り込める機体となっています。
いろんな意味でチャレンジャーなソ連の実態はわからんのですが、スターリングラード戦の時、
フツーの機体で、フツーに迎え撃ってる、ってな話が昔見た資料にあったような記憶が…。
がんばれ…。
少し斜め後ろの角度から。
水平尾翼がかなり斜めにつけられてるのがわかります。
これ、He162とかでも、似たようなデザインになってます。
コクピットの後ろに丸い換気扇みたいのがあるのわかりますかね。
これが本機の特徴の一つで、方位探知アンテナが入ってるそうな。
尾部のアップ。夜間用の点滅ライトが入ってるため透明アクリルのカバー付きに。
透明パーツの最上部にある丸いのがその尾灯。
上に突き出してるのは後方警戒アンテナの支柱で、ここに八木アンテナをさすんですが、
完璧にフタされてますね…。世界の傑作機の復元前写真では、
この肝心の部分が狙い済ましたように隠れてしまっててこれが鹵獲時の状態なのか、
それとも復元途中の仮の姿なのかよくわからず。
下の方に開いてる穴からはリールにまいてあるコードでつながれた曳航アンテナが凧のようにスルスルと引き出され、
飛行中は、これを引きながら飛んでいたようです。
この機体にも尾部に尻モチ防止用と思われる出っ張りがあります。
前輪式機、どうも思った以上に、離着陸時の尻モチが多かったみたいですね。
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