■フィゼラーFi156C シュトルヒ&モラン・ソルニエ MS500クリケ
Fieseler Fi156C Storch & Morane-Saulnier MS500 Criquet
前線で多目的に使われる軽飛行機で、偵察、連絡、お偉いさんの足がわり、
部下がサボってないかの監視、ムッソリーニの運搬などに使われました。
この機体はフィゼラー社の社長、フィゼラー本人のデザイン(共同設計だけど)のようですが、
同社のもうひとつの代表作、V1飛行爆弾は例のルッサー
の作品。
冷静に考えるとすごい取り合わせだよな、この会社の商品ラインナップ。
で、まったくと言っていいほど知られてませんが、その創業者のゲルハルト・フィゼラーは、
第一次大戦で19機の撃墜記録を持つエースパイロットです。
戦後は、アクロバット飛行で食ってましたが、自分の飛行機のデザインから設計者としての経歴をスタート。
そのうちに関係のあった航空会社を買い取って、フィゼラー社としました。
アクロバット飛行の腕も確かなようで、フィゼラーという名のマニューヴァー(機動)があります。
垂直上昇後、反転、まっさかさまに降下して、やってきた方向に戻る、という動きらしいですが、
アクロバット飛行をなんぼ文章で説明されてもようわからんので、間違ってるかも(無責任)。
ちなみに戦前の1934年、パリで行われたアクロバット飛行のコンテストで優勝、その賞金を資本金に突っ込む、
という私が知る限りでは他に例のない、極めて珍しい増資を行ってます、この会社(笑)。
つーか、世界初にして最後?
さらにちなみに、フィゼラー社のロゴは、Fの字をカッコよくデザインしたつもりのようですが、
どう見ても天気図の風力記号にしか見えません(涙)。
さらについでに、フィゼラーさん、どうも1987年ごろまで存命だったようです。
初期生産型がAで、その後、連絡、偵察型などすべてひっくるめてほとんど全部C(C0〜C5)なんですが、
どうもサブタイプに判然としないとこがあります。よって君子危うきに近寄らず、コメントせず(チキン野郎)。
他に、負傷兵運搬方のD-1、対潜型のUなどがあるみたいですが、どの程度作られたのかはよくわからず。
■2006年8月 イギリス ダックスフォードにて撮影

ご覧のように艦載機のごとく翼を畳めます。翼の付け根に見える赤いレバーがロックのようです、
これはトレーラー車や貨車での運搬を想定したものらしいですが、
このままキャンピングカーのように車で牽引してしまったという話もあります。
脚部が真ん中あたりで2段になってるのわかりますかね。
地上駐機状態だと普通ですが、これが飛行時にはダランと完全に伸びきって、かなり「長い脚」となります。
その「長い脚」で油圧とスプリングでショックを吸収し、かなりラフなコンディションでも運用を可能としました。
エンジンの下に筒状のものがぶら下がってるんですが、発電機ですかね?
ご覧のように、窓部分が胴体からはみ出て作られてるので、かなりユニークな形状となっています。
でもってこの機体、1936年初飛行で1937年からは生産に入ってる。
第二次大戦勃発前。
戦前にこういう機体が必要になると考えた、ということは、次の戦争ではもう塹壕戦はない、
高速で広範囲な戦線が広がる、とドイツ軍は完全に予見していたのでしょう。大正解。
同じようなアメリカのパイパーカブ(グラスホッパー)もほぼ同世代機ですが、
あちらは民間機をあわててコンバートしたものです。
日本のようにでかい太平洋で戦争してるとわかりにくいですが、
とにかく広い地面の上で戦争をやってたヨーロッパ、アフリカ戦線では、偵察、連絡、雑用に使える、
手軽で頑丈な飛行機の存在は必須でした。
道路も鉄道もあてにならないのに、今日5時にロンメルちゃん家に集合、
遅れたらシッペ100連発とか言われても、司令部から300km離れた最前線では打つ手がありません。
ちなみにイギリスのモンゴメリー将軍はアフリカ時代、鹵獲されたこの機体を自分の専用機として使っていたようです。

反対側から。
なんかちょっと手先の器用な人なら夏休みとかに一気に造れちゃいそうな気がしなくもなくもなく…。
ちなみに、ロンドン旅行記で折りたたんだ翼と脚を鎖でつないでる、と書きましたが、
完全な見間違いでした(笑)。めんどくさいんで今更直しませんが(最低野郎)。
プロペラはもちろん、固定ピッチです(木製か?)。小細工なし(笑)。
なにしろ軽量小型で、その離着陸性能は驚異的です。
いわゆる短距離離着陸機、STOL(Short
Take Off and Landing
)の代表格ですね。
厳密なデータではないのですが、多少の向かい風があれば離陸は60m、着陸は20mで出来たとか。
ちなみいつ誰が計ったねん、という素朴な疑問が残るものの、例の
「フハハハ!明智君、ムッソリーニはいただいよ!」
「おのれ!オットー!オットー・スコルツェニー!追え、小林君!」
「やだよ、お前が行けよ」
で有名なグランサッソ大作戦に参加した時は着陸30m、離陸80mで行ったそうな。
このグランド殺鼠、否、グランサッソでの活躍は、
実は持って行ったフォッケアガリスのヘリが故障しちゃったための代役だったんですが。
着陸距離が離陸距離の約1/3、というのはいかに低速で着陸できたか、
ということですから(普通は着陸の距離の方が長い)、
ほとんど止まってるような状態で、ストン、と地面に落っこちるようなもんなんでしょうね。
実際、時速50kmで飛行可能とされ、これは対気速度ですから、
風向きによっては地上に対しては0kmというのもありえたはず。
強い向かい風だと、着陸時に後退してしまった、という話もありますから(笑)、着陸距離がマイナス表記に…。
乾燥重量で860kg、最高速度で170kmだったといいますから、まさに軽自動車感覚ですね。
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