■RAF博物館 所有機

まずはイギリス空軍(RAF)博物館の所有機から。

シュトルヒの生産型はほとんどがC型なんですが、
さらにC型の中にも区別があり、これはC7型だとのこと。
1944年のチェコスロバキア製とみられ、
ドイツ降伏後にイギリス占領区で接収された機体だとか。

ただし、いろいろ便利な機体だったため、
終戦後にイギリスに送られてからもグライダー牽引用などとして
実務に使われており、こういった博物館用のコレクションに加わったのは
1960年代に入ってからのようです。

この機体は鋼管羽布張り構造ですが、さすがに当時の羽布は残っておらず、
その点はオリジナルのものではありません。

ちなみにRAF博物館はロンドンとコスフォードの二か所あり、
それぞれが展示を入れ替えたりするので、見学前に確認した方が無難です。
とりあえず私が訪問した2011年、
そして2014年現在はコスフォードで展示されています。

ついでに気が向くと(笑)エンジンカウルを外して展示していることもあり、
私が訪問した後、しばらくはその状態だったようです。
現在どうなってるかは、行ってみないとわかりません(笑)。



まずは真横から。
広角レンズの撮影ですが、長い主翼の手前から撮影してるので、
距離が離れた機体部分のゆがみはそれほど無いはず。

尾翼に見えてる赤いパーツは垂直尾翼の舵の固定具です。

横から見てちょっと意外だったのは主翼の薄さ。
高い揚力で短距離離着陸(STOL)能力が自慢なのに、
高揚力につながる分厚い主翼ではないんですね。
そういえばアメリカのL-4なんかもそんな主翼は分厚くないので、
軽量ゆえのデザインでしょうか。

もっとも、このFi156には主翼の前後にスラットとフラップがあり
これでも十分な揚力が得られたのでしょう。

高揚力用の装置は後でまた解説しますが、
主翼前にある翼断面型の板がドイツ機ならではの機構とも言えるスラット(Slat)で、
主翼後半、胴体奥ににあるのが通常のフラップです。

ただし主翼後半でも、手前側にあるのはフラップではなく、
機体を左右に傾ける操縦用のエルロン(補助翼)となります。
これで主翼左右で生じる揚力に差をつけ、
揚力が上がった方(エルロンが下がる)が持ち上がり、
揚力が下がった方(エルロンが上がる)が下に落ちます。
これによって旋回に入るわけです。



正面から見るとこんな感じ。
地面からかなり高い位置に胴体があるのがわかります。
これも荒地対策でしょうかね。
ついでに、主翼に対して、かなり小さい胴体にも注目。

こうして正面から見ると、主翼お化け、という印象もありにけり。



ここの展示では真後ろに回れないので、
とりあえず精いっぱい後ろから。
地上観測のため、左右に飛び出してる窓にも注目してください。

この機体は鋼管で骨組を組んでから布を張り、
その上からドープ(Dopeは濃度の高いどろどろの液体の意味で、一種の表面強化剤)
を塗り、それが乾燥して水をはじく、という構造、いわゆる鋼管羽布張り機となります。
ただし、あくまで布ですから、雨ざらしには向いてません。

尾翼や主翼のフラップには骨組が浮いて見えてますが、
よく見ると胴体にも骨組が浮いて見えてるのわかるでしょうか。

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