■メッサーシュミットMe262
Messerschmitt Me262
世界初の実用ジェット戦闘機としてあまりに有名な機体。
1942年7月にはジェットエンジンによる初飛行をしておきながら、
エンジンの生産が遅れ、さらに爆撃機として生産、運用されるなど、
開発と運用の迷走で、戦闘機としての実戦配備が遅れたのはあまりに有名。
この機体、なにせ連合軍の皆さんが見たい、知りたい、触りたい機体No.1だったんで、
戦後、連合国側に持ち帰れられた機体も多く、アメリカを中心に結構な数が生き残った(最低でも7機はある)。
この生産数の少ない機体の方が生き残ってる、というケース、実は結構多く、
同じメッサーシュミットのMe110なんて5000機以上つくられて現存機は1機だけ、
日本の晴嵐なんか20機ちょっとしか作られてないのに、1機現存、
震電なんて事実上完成機は1機だけなのにこれまた現存、
そのくせ二式戦 鍾馗なんて1200機つくられても現存機はゼロなのだ。
以上、余談までに。
戦争末期に生き残っていたスーパーエースパイロットをかき集めて、
ルフトバッフェ(ドイツ空軍)の伊達男、ガーランドが結成したチョー秘密戦隊「JV44」の主力機としても知られる。
JV44、100機以上撃墜スコアを持った者だけでも、
ガーランド本人、バルクホルン(総スコア300機超…)、シュタインホフ、リュッツオウ、と4名おり、
さらに騎士鉄十字勲章(最低でも30機以上、この時期なら50機以上のスコア保持者)授章パイロットも20名はいた、
というから、まさにチョーすごいパイロットに、チョー夢のジェット戦闘機を組み合わせた、チョー究極の戦闘機集団だったわけです。
だが、その結成は1945年3月。
終戦まであと2ヶ月、どうすりゃええねん、といった状態で、
上記のスーパーエース4名も全員病院送りとなる結果に(リュッツオウは戦死)。
さて、朝鮮戦争でMig15にであった米軍は狼狽に近い反応を示し、
最新鋭のF86Aを装備しながら、田舎でくすぶってたエース軍団、4FIGを即刻戦線に投入します。
それに比べて、連合軍がMe262に受けた衝撃を見ると、かなり平凡な印象があります。
Me262、世界初の実用ジェット戦闘機なのは事実ですが、実はイギリスのミーティアもほぼ同じ時期に実戦配備についてます。
その生産機数はケタひとつ違うのですが(ミーティアの生産は戦後がメイン)、それでも、もしMe262の力が圧倒的なら、
イギリスはこれをためらわずに実戦投入してきたはずです。100機単位では実動機、持ってたはずですから。
しかし、それなりに実戦対応が可能になった1945年初頭においても「ジェットにはジェットを!」的な動きは全くみられず、
ミーティア、偵察などにノンキに運用されてました(そもそも、空戦は禁止されてた)。
また、1945年2月からP80の生産を開始したアメリカも、その投入をあせった様子は見れません(ロッキードは商売かかってたので別)。
必要、なかったんです。
この機体、もし量産化が半年程度前倒しされ、生産機数が倍になったところで何も変わらなかったでしょう。
実際、連合国側のパイロットの記録を読んでも、
「あの恐怖の最新ジェット戦闘機じゃ!Me262じゃ!ヒエ〜逃げろ!」ってな描写はほとんどなく、
せいぜい珍しい飛行機程度の認識で、パンダかポケモンのレアカードでも相手にしてるかのごとき記述を見かけます。
おなじドイツのチョー必殺兵器、ティーガー戦車が連合軍側の歩兵、戦車兵に
パニックを起こさせるほどの恐怖心を与えていたことを考えると、その差はあまりに大きいでしょう。
ついでに、登場がもう少し早ければ…とかも言われる機体ですが、1944年3月に量産をスタート、
7月には本格的に実戦への投入が開始されています。
実は、このタイミング、日本の四式戦 疾風とほぼ同じ。
また、第二次大戦のトリを飾ったという印象があるB29ともほぼ同じスケジュールだったりします。
ついでにいうと、あのP51ムスタングのB,Cに比べても、その実戦投入は7ヶ月差、
さらには、ムスタングの代名詞ともいえるD型となら、ほぼ同期です。
ノルマンディーの直後から、すでに飛んでいたわけで、決して戦争の終わり際ギリギリに出てきた機体ではありません。
Me262、残念ながら相手に絶対的な恐怖を与えるほどの兵器でなかったように思えます。
■2005年7月 アメリカ スミソニアン航空宇宙博物館にて撮影

現存機の中でも最も有名なものの一つ、スミソニアンのMe262A1a ナンバー500491機。
スミソニアンの復元機というと、盲目的な信頼を寄せる人も多いが、ここ、いい加減なとこはいい加減(笑)。
この点はイギリスのダックスフォードも一緒で、妄信は禁物だったりします。
この機体がどの程度正確な再現なのか、私にはよくわからんのですが、まあそういうつもりで見てください。
ちなみにスミソニアン、未修復ながら、もう1機持ってるはず(写真偵察型?)。
いろいろな特徴のある機体なんですが、なにより特異なのが、そのコクピットの位置。
機体前部に重いエンジンの無いせっかくのジェット機、なのに、コクピットは胴体中央、主翼の真上…。
これじゃ、飛行時はおろか離着陸時も視界が取れず、不利ですよ。
プロペラ機では主翼の上にコクピットが来るの、珍しくないのですが、せっかくのジェット機なのに…
同時期につくられたイギリスのミーティアアメリカのP80、さらに同じドイツのHe162 と比べても明らかに変。つーか異常。
アメリカの問題児、ベルのXP-59
がやや主翼上位置のコクピットですが、さすがにここまでではないぞ。
これ、コクピット前には燃料タンクと30mm砲が入っており、燃料タンクの位置は機体の重心位置と深くかかわるので、
それなりの理由があってのレイアウトなんでしょうが、さすがにセンス悪くないですか、メッサーシュミット。
この機体、そもそも、その重心位置の調整に失敗して後退翼を採用してたりするんで、
なんというか、どうなのよ、この設計…。
ここでちょっと、わき道にそれましょうか。
横から見ると、コクピットを真ん中に置いて尾翼までの胴体を細く絞り込む、しかも前輪式、というこのレイアウト。
実はこれ、メッサーシュミット社の「できれば忘れたい機体」ナンバー1、あのMe309のデザインと同じラインだったりします。
まあ、正面から見るとまるで違うんですが。あっちはスマートだし。
Me309はMe109の後継機として開発(そして失敗…)されてた機体だけに
あっちが先にできて、そのデザインをこの機体が引き継いだのか、とも思ったんですが、
先にも書いたようにMe262の開発スタートは意外に古くて、その設計案の提出は1940年5月(バトル オブ ブリテンの前!)。
これ、Me309の設計より先なんですな。
でもって「世界の傑作機のBf109パート2」で小室克介さんがウィリー・メッサーシュミットのデザインのクセ、というのを指摘してるのですが
それが、胴体後部を細く絞り込んであまり大きくない尾翼をつける、という点だとか。
それを考えると、この機体、さらにはMe309ともにウィリー本人がその設計に参加していた、
つまりローベルト・ルッサーの退社後のデザイン、と考えていいように思います。
でもって、Me309は失敗に終わり、以後のメッサーシュミットの凋落につながって、
その代わり、このMe262は傑作機として歴史に名を残したのさ!ということになりそうですが、
いや、どう考えてもこの機体も、設計が変ですよ(笑)。すくなくとも優秀ではない。
そこら辺を注意して見てゆきましょう。
コクピットど真ん中レイアウトの機体なので、前方向から写真を撮ると妙に間延びします。
これ40mm程度のレンズで、けっして広角撮影ではないんですが。
さあ、どっちが前かわかるかな〜(笑)。…正解は右。
エンジンポッドの長さも注目。手前の斜めの穴は30mm機関砲の廃莢孔。
ついでに全くの素人考えなんですが、Me262、そのぶっとい胴体の下は驚くほど真平らで、
ご覧のように主翼下面とスムーズにつながり、一体化されてます。
そして、その機体上面は緩やかに盛り上がる形です。すなわち翼面型。
これ、機体の前半部でも揚力を稼ごう、とか考えてませんかね。
ここまで機体下面を真平らにした機体を他にあまり思いつきませんし、
その必要性も本来ないはずですし。
普通にこのスタイルで造ると、某極東国家の橘花のごときモサッとしたスタイルになると思うんですが。
ここでもう一度、横道にそれましょうね(笑)。
日本で開発されたジェット機「橘花(きっか)」、その初飛行は1945年の8月、世界中のジェット化の波に完全周回遅れ(3周くらい)でした。
まあ、それは仕方ない、として。
で、この橘花、Me262に似てる印象がありますが、それは横から見たときだけ、実際には共通点は少なく、
また、機体も一回り以上小さく(エンジンの推力が、あまりに非力だったため。Me262のユモ04のほぼ半分…)、
日本のオリジナル、と言ってもいい機体(そもそも特攻用だ…)。
といっても、それは別段ホメられたもんじゃなく、とりあえずMe262を参考にはしてるわけで、
そんでもって、よりによって、この「機体中央、主翼の真上付近にコクピット」と「翼下に吊り下げ式のエンジンポッド」という、
もっともマネしなくていい部分をそのままパクってしまいます。イタタタタ…(泣)。なんでやねん。
先に書いたように、この位置のコクピットにメリットはありませんし、吊り下げ式のエンジンは、
地上でエンジンを回してるとき、地上のゴミ、さらに雨の後なら水、雪の時なら雪をガンガンに吸い込みます。
タービンエンジンの吸引力、ナメてはいけません。
F16とか、あのインテークの位置まで、地上の水、吸い込みますよ。
まあ水やら雪なら大ダメージにはならんでしょうが、石でも吸い込んだ日にゃあ…。
ただでさえデリケートなエンジンなのにい(泣)。
ちなみに橘花の設計陣、先に書いた「ウィリーのクセである尾部の絞り込み」だけは意味がない、
と見たのか橘花では、尾部まで素直すぎるくらいそのまんま太目の胴体を延長してます。
ついでにもう一つの日本製ジェット機(未完成)、Me262をほぼまんまコピーしちゃえ、に近いシロモノだったように見える
陸軍の「火龍」ですが、これもその寸法図を見る限り、尾部の絞込みをやってません。
なんでそんなとこで、オリジナリティーを発揮するのか(笑)。
橘花は端的にいって、Me262の劣化コピーであり、それ以上でもそれ以下でもないように思いますねえ。
ついでに火龍って、やっぱドイツの一般大衆戦闘機ことHe162ザラマンダーを意識したネーミングでしょうかね?

前輪。ベルのP39を思わせる細長いもの。
ちなみにメッサーシュミット、前輪式のMe109(V-23)とかも造ったりしてるんで、
それなりに前輪式の機体設計経験はあったのでした。
そういやMe309も片持式前輪だったなあ…。

後輪部分のアップ。
かなり頑丈そう。また、Me109で懲りてか、両輪の間隔は十分とられてます。
主翼内にコイツを収容するにはちょっと大きすぎるので、車輪部分は胴体内への収容となります。
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