やや斜め後ろから。
ジェットエンジンが主翼のあの位置にあるので、フラップは2分割されてます。
ただし、Me262ではなぜか翼端のエルロン(補助翼)も二分割されてます。
この点は、なんでかはわりかませぬ…

垂直尾翼の舵面はかなり大型で、上の方についてるタブも大きいですね。
ついでに垂直尾翼前面には誘導アンテナが入ってるため、
その前縁部はこれまた木製です。




後部上側から。

この機体、水平尾翼はドイツでおなじみ、全動式です。
燃料や弾薬消費で変動する機体の重心位置にあわせ
水平尾翼の角度を調整し、機体の前後バランスを取る構造になってます。

よって水平尾翼全体が動くため、垂直尾翼は舵面より前は天地で二分割されており、
その下部に動作用のスクリュージャッキと電動モーターが入ってます。

この点を説明するために、Ar234のところで使った図を地球に優しく再利用しませう。
普通の水平尾翼は、機体を上下に動かす後部の昇降舵面のみが可動します。
ところがドイツ機の場合、機体の前後バランスを取る為、その前にある
普通は動かない安定板部まで一定の角度で動かせるのです。

ただし昇降舵のように大きく動くわけではなく、Me262では上に3.45度、下に5度まで、
さらにMe262では電動モーターでゆっくり動く、という感じになってます。



飛行機は弾を撃ったり燃料が減ったりすると、機体の重量配分が変わり
機体の重心位置が動いて、前後のバランスがズレます。
(厳密には速度によっても主翼の重心、揚力発生位置も変わる)

こうなると、機体がお辞儀して下向いたり、あるいは上を向いたりしてしまいます。
なので常に操縦桿で調整しながら飛ぶ必要があるのですが、
これだとパイロットは疲れ果てることになりますし、操縦ミスにも繋がりやすいわけです。

そこで水平尾翼を動かして正か不の揚力を発生させ、
ちょうどいい角度で固定、機体の前後バランスを安定させます。
重心点から後部に伸びる機体がテコの棒で、水平尾翼の揚力が力点となり、
そこに機体がちょうど水平になる力を加えておく、という形です。

といっても普通は昇降舵の一部をタブとして分割し、
そのタブ部分だけを飛行中に上下に傾け固定するんですが、
言うまでも無くドイツ空軍は普通じゃありませんから(笑)、
ほんとに水平尾翼ごと傾けてしまいます。

いや、それが正しいのですが、当然、非常に面倒な装備になってゆくのです。
ただし、これが棚からボタモチでして、思わぬ形で、
ドイツ機の高速飛行を助けることになりました。
Ar234の時も書きましたが、これはF-86以降のオールフライングテールに近いもので、
実際、ダイブの高速降下中、翼面上衝撃波で操縦不能になったMe262を、
この安定板を動かすことで引き起こす事ができた、というレポートもあります。

ちなみにアメリカ陸軍の操縦マニュアルによる制限降下速度は
950km/hとムチャクチャな数字が出ており、
これは多分、この安定版をモーターで動かす、という条件での話ではないかと。

Me262、実は水平尾翼は後退翼ではないため、本来ならそれほど高速だと
水平尾翼上の翼面上衝撃波で、あっさり操縦不能になっているはずです。
これがない、というのは、おそらく、そして例によって(笑)、
本来はそういった目的ではなかったこの機能によると思われます。
後退翼といい、よくよく運がいい機体です。

ちなみにMe262では昇降舵のタブもあるんですが、
これは基本的に舵を軽くする操作補助用です。
(操作時に少しこれを出っ張らせて、空気抵抗で押し下げる(上げる)て操作を補助する)



とにかく後ろから見るとかっこ悪い(笑)、
というのがドイツ機の特徴だと個人的に思ってるんですが、
この角度だと微妙に魚っぽいフォルムが何となく判りますかね。



ちょっとブレてますが、他に写真が無かったので…。
このくらい後ろに回ると、ハゼというか、ナマズというか、
なにか妙なフォルムなのが見て取れるかと。

Me262は、やはり横から見る戦闘機、というところでしょうか。
ドイツ機の場合、どうもこういった機体が多い印象がありますけどね(笑)。


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