2016.03 掲載

■それはいかなる集団なのか


さて、最初にちょっと前回の話の内容と、
この連載の目的を確認して置きます。
(なにせ年1回ペースを下回る更新速度なので…)

多くの市場参加者の意思で価格が決定される
自由市場での価格変動は、全てランダムな動きであり、
その価格を時系列順に並べた数列は乱数集団となる、というのが私の主張です。
つまり、そこにはなんの法則性もないし、単純な未来予測も成立しない。
論理的に自由市場の未来価格を予想する事は
人間には不可能だ、という事です。
(確率論になるので厳密には“いつ起きるか”が分からない。
その代わり“何が起きるか”はほぼ正確にわかるのだが)

現実には、ほとんどの市場関係者は上の条件を
何も考えずに無条件に受け入れながら、
それでも未来価格の予想を試みてるわけですが(笑)…。

とりあえず前回は、その基本中の基本、
自由市場の価格決定はランダムである、という条件が
どこまで正しいのかをキチンと検証してみよう、という内容でした。

その確認をするため、日経平均株価の価格(終値)を取り上げたわけです。
その結果、何ら法則性は見いだせず、ランダムな集団と考えて問題はなかろう、
という結論にまで達して終わったのが前回のお話でした。

よって、自由市場の価格変動、この記事においては
日経平均株価の変動は、ランダムな動きをする乱数集団であり、
その価格を時系順、日ごとに並べた数列は乱数になる、
という前提を以後は採用して行きます。
(乱数は未来予測が不可能な、不規則な数列に含まれる数を指す)

では、その乱数の数列として現れた日経平均株価の乱数集団、
この母集団はどうのような特徴を持つのか、というのを今回は考えます。

乱数といっても、単純に無法則性のランダムな数列なわけではなく、
実はいくつかの種類が存在します。

その中でも最も重要な、そして一般的なものが正規分布の乱数集団です。
これは自然界の多くの乱数現象(ブラウン運動など)にも見られるし、
乱数ながらいくつかの法則性を持つため、
純粋に数学的な問題として取り扱う事が可能です。

このためアメリカ発祥の高度に数学的な経済学、
金融工学(financial engineering)などでは、
ほぼ無条件に株式市場、為替市場の価格の乱数集団は正規分布である、
とみなし、そのまま数学的に取り扱っています。
そこからブラック&ショールズによるリスクヘッジ(危機防止策)の基本理論
などが生まれて来たわけです。
この辺りに対する基本的な疑問を見て行くのもこの記事の主題の一つで、
今回はそこから攻めてゆきます。

それにはまず正規分布って何?というのを知る必要があります。
それにはいくつかの予備知識が必要なので、今回はまずそこから。


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